マーケットを捉え直す:デザインリニューアルのタイミングと効果

先日、近所の居酒屋さんがリニューアルオープンしていました。
元々はちょっと高級志向の居酒屋だったのですが、より大衆向けの、「毎日飲める!」と謡ったフレンドリーな外観のお店に変化していました。
(さすがに毎日飲みには行きませんが・・・)


リニューアルオープンは既存の顧客だけではなく、新しい顧客に対するアピールのチャンスになります。
企業にとってのデザインリニューアルも同様で、長く愛される企業ロゴ等もありますが、企業デザインやブランドを時代に合わせてアップデートし、企業の価値観やメッセージを新鮮な形で伝えることは重要な取り組みだと考えます。


今回は、デザインリニューアルについて考えてみたいと思います。



デザインリニューアルとは

「デザインリニューアル」という言葉に決まった定義はありませんが、一般的にはロゴ、ウェブサイト、製品パッケージ、店舗の内装など、企業が顧客に提供する視覚的要素を見直し、更新することだと言われています。


リニューアルの適切なタイミング

デザインリニューアルを行うタイミングを考える際は、市場の変化、技術の進歩、消費者の嗜好の変化など、外部環境のシグナルに注目することが重要だと言われています。
また、企業が市場での​​ポジションを強化したい、ニーズに応じてサービスや商品を更新したい、技術の進歩を取り入れて効率を良くしたい時も、何かを新しくする、または改善するのに良いタイミングだと考えられます。


デザインリニューアルの効果

何のデザインをリニューアルするかによって効果はそれぞれ違います。特に影響が大きいリニューアルの対象を紹介します。

  • ロゴデザイン
    ブランドの顔とも言えるロゴは、企業の価値観とアイデンティティを象徴します。現代的で覚えやすい新しいロゴへの変更はブランドの認知度を高めます。
  • ウェブサイト
    ウェブサイトのリニューアルは、ユーザー体験を改善し、最新のデザイントレンドを取り入れることで、訪問者のエンゲージメントを高めます
  • 製品パッケージ
    良いパッケージデザインの変更は、製品の魅力を高め、消費者の購買行動に直接影響を与えます。
  • 店舗デザイン
    店舗内装のリニューアルは、顧客のショッピング体験を向上させ、店舗のブランドイメージを強くします。

社内へのポジティブな影響

消費者にとって、デザインリニューアルは企業が現代化し、進化しているという印象を与えます。
これは、ブランドへの信頼と関心を高めることにつながります。
デザインリニューアルは消費者だけではなく、社内にもポジティブな影響をもたらします。

新しいデザインの導入は従業員に新鮮な刺激を提供し、社内の創造性やイノベーションが促進され、従業員のモチベーション向上にも繋がります。


事例の紹介

デザインリニューアルを行った企業の事例を紹介します。

・千秋庵製菓:「ノースマン」
千秋庵製菓は1921年創業の老舗菓子メーカーで、2022年10月に看板商品「ノースマン」のパッケージを刷新しました。
既存のロゴをパッケージに大きくレイアウトしたデザインに変更し、織物や編物柄で北国文化を表現した新しいグラフィックに合わせました。

合わせて新商品の「生ノースマン」も発売し、発売から半年間で、2つの商品で合計約198万個を売り上げました。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00917/00005/?i_cid=nbpnxr_index より引用


・有楽製菓株式会社:「ブラックサンダー」
幅広い年代を対象にした意識調査の結果、「ブラックサンダーの惹かれるところ」として「ザクザクした食感」と回答した人が71.9%に上ったことを反映し、”ザクザクとした食感”をアピールしたパッケージデザインにリニューアルしました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000064626.html より引用


・ブルドックソース
ブルドックソースは2023年9月1日から、同社の商品「ウスターソース」「中濃ソース」「とんかつソース」「うまソース」のボトルをリニューアルしました。

従来のボトルは「中栓が固くて開けにくい」「キャップがソースで汚れる」「ラベルの分別が大変」「容器が持ちにくい」といった声が寄せられていたため、「開けやすさ」「持ちやすさ」「使いやすさ」の観点から、50年以上起用してきた四角いボトルから、円筒状のデザインに変更しました。デザインリニューアルに合わせて、特設サイトやWeb動画の公開も行っています。

https://www.advertimes.com/20231031/article438353/ より引用


デザインリニューアルの実践ステップ

デザインリニューアルを実践する具体的なステップについてまとめました。

  1. デザインリニューアルの目的を明確にする
    • 目的を設定して、ブランド認知度の向上や顧客エンゲージメントの強化、市場での競争力の強化を目指す。
    • リニューアルの範囲を決める(ロゴ、ウェブサイト、製品パッケージ、店舗デザインなど)。
  2. 現状分析と市場調査
    • ブランドイメージ、顧客認識、競合比較の分析を行う。
    • ターゲット顧客のニーズと最新トレンドを調査する。
  3. コンセプト開発
    • ブランドメッセージや価値観を視覚化するデザインコンセプトを作成する。
    • ブランドの物語をストーリーテリングを通じて伝える計画を立てる。
  4. デザインの作成とテスト
    • デザイナーやエージェンシーと協力してアイデアを形にし、フォーカスグループやA/Bテストで初期案をテストする。
  5. 実装計画
    • リニューアルのロールアウト戦略を立て、段階的実施または一斉導入を決定。
    • 内部チームやステークホルダーへのコミュニケーションプランを策定する。
  6. リニューアル後の評価と調整
    • 効果を測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、必要に応じて微調整を行い、ブランド戦略にフィードバックする。

※A/Bテストとは、2つのバリエーション(AとB)を比較評価するための方法で、主にウェブサイト、製品、広告キャンペーンなどの改善に利用される。

※KPI(重要業績評価指標)とは、企業や組織が重視する戦略的目標に対して、その達成度を可視化し、評価するための数値や指標のこと。


今回は、デザインリニューアルについて考えてみました。
「古き良き文化の継承」と「新しい時代の流れ」のバランスを取りながら、消費者も企業側もポジティブな気持ちになれるデザインリニューアルを目指していけたら良いなと感じました。