誰もが使えるデザイン:インクルーシブデザインの力

インクルーシブデザインに関するこちらの記事を読みました。
この記事の中で紹介されている「みんなの文字」は、
「小さな文字でも読みやすい」「劣化した状況でも見やすい」といった特長を持つユニバーサルデザインフォントのことで、
老眼や白内障などで字が見えにくくなりやすい高齢の方へのテストを重ねて開発された文字とのことです。

誰にとっても無理なく伝わる・使えるような工夫は大切であり、これからの社会にとっても重要な視点になると思います。
今回はインクルーシブデザインについて、事例を交えてご紹介したいと思います。


インクルーシブデザインとは?

インクルーシブデザインとは、
「高齢者、障がい者、外国人など、従来デザインプロセスから除外(Exclude)されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込み(Include)、
一緒にデザインを行っていくイギリス発祥のデザイン手法」
インクルーシブデザイン | SDGs用語集 – 日本ノハム協会より
だそうです。

似ている言葉に「ユニバーサルデザイン」がありますが、
ユニバーサルデザインは、「デザイナーが考案する」手法なのに対し、
インクルーシブデザインは「実際に使用するユーザーや消費者の意見をデザインに反映する」という手法である点で、異なると言われています。


インクルーシブデザインの歴史

インクルーシブデザインという考え方は、1990年代初頭にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの名誉教授、ロジャー・コールマン氏によって提唱されました。
デザイナーであるコールマン氏は、車椅子を使用する友人のためにキッチンをデザインする機会があり、車椅子ユーザーが使いやすい機能を考慮しながらも、誰もがうらやむような魅力的なキッチンを目指しました。
この経験から、障害を持つ人々のニーズを深く理解し、彼らが実際に何を求めているのかを捉え、それをデザインに反映することの重要性を学んだと言われています。

近年、テクノロジーが急速に発展し、多様性を受け入れる社会の意識が高まる中、インクルーシブデザインの役割がより一層重要になってきています。
インクルーシブデザインは、教育から交通、公共施設、デジタル製品、
さらには広告に至るまで、私たちの生活のあらゆる面に取り入れられています。


なぜインクルーシブデザインが
重要なのか

インクルーシブデザインはすべての人に等しくアクセス可能な製品やサービスを提供することを目的としています。
インクルーシブデザインの重要性について、一般的には下記のように言われています。

多様性の受け入れ

社会は多様な個人で構成されており、それぞれが異なる能力、ニーズ、経験を持っている。インクルーシブデザインは、この多様性を認識し、すべての人が自分のニーズに合った方法で製品やサービスを利用できることを目指している。

アクセシビリティの向上

障害を持つ人々、高齢者、異なる文化的背景を持つ人々など、従来は考慮されにくかったユーザーグループのアクセシビリティを向上させる。
インクルーシブデザインを通じて、これらのグループが直面する障壁を取り除き、よりアクセスしやすい社会を実現する

新たな価値の創出

インクルーシブデザインは、従来のデザインプロセスでは見過ごされがちだったニーズに光を当てることで、新たな市場機会を開拓する。
多様なユーザーグループに対応することで、製品やサービスの利用者を広げ、新たな価値を生み出すことができる。

社会的責任の実現

企業や組織がインクルーシブデザインを採用することは、社会的責任を果たすという観点からも重要である。
すべての人が公平にサービスや製品を利用できることは、多様な人を受け入れ、公平な社会を築く上で重要な基準である。

自己認識の促進

デザインプロセスにおいて多様なユーザーのニーズを考慮することは、デザイナーや開発者が自身のバイアスに気づき、それを超える機会を提供する。


インクルーシブデザインの例

  • バンドエイド:多様な肌の色に対応した絆創膏
    バンドエイドは、多様な肌の色を持つ人々を考慮して、さまざまな肌色に合わせた絆創膏を発売しました。
  • レゴ:点字を用いたブロック
    レゴは、視覚障害を持つ子供たちがレゴブロックで遊べるように、点字を用いたブロック「レゴブライルブリックス」を開発しました。
    これは、遊びを通じて視覚障害のある子供たちが点字を学べるように設計されています。
  • ナイキ :障害を持つアスリートも履けるスニーカー
    ナイキは、障害を持つアスリートも簡単に履けるように設計された「フライイーズ」テクノロジーを持つスニーカーを開発しました。
    この靴は、手を使わずに脱ぎ履きができるように設計されています。
  • iPhone:視覚障害者も操作しやすい設計
    iPhoneは、視覚障害者がスクリーンリーダーや音声コマンドを使って操作できるように、多くのアクセシビリティ機能を備えています。
    これにより、視覚障害を持つユーザーも、他の人と同じようにテクノロジーを活用できるようになっています。
  • シチズン時計:視覚障害者向けの腕時計を開発
    シチズンは、視覚障害者が時間を確認しやすいように設計された腕時計を開発しました。
    触って感じられるマークや、音声で時間を伝える機能など、使いやすさを考慮した設計が特徴です。
  • こども+くすり+デザインプロジェクト:子どもが飲みやすい薬の開発
    このプロジェクトでは、子どもが苦手とする薬の味や形状に着目し、飲みやすい薬の開発に取り組んでいます。
    子どものニーズに合わせた薬のデザインは、インクルーシブデザインのアプローチを医薬品業界にもたらしました。
  • IKEA :すべての人が使いやすいデザイン
    IKEAは、家具や生活用品をすべての人が使いやすいようにデザインしています。例えば、「ThisAbles」プロジェクトでは、障害を持つ人々のための家具のカスタマイズアクセサリーを提供し、製品の使いやすさを向上させています。

今回はインクルーシブデザインについてご紹介しました。
制作会社としてインクルーシブデザインの原則を取り入れることで、
これまで以上に使いやすく、多くの人に届くプロジェクトの提案をしていけたらと考えています。