デジタルデバイド:広告やデザインができること

こちらのニュース記事を読みました。
通信事業者のノウハウを生かし、愛媛県宇和島市のデジタルデバイド解消を支援する連携協定を締結 – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース


「デジタルデバイド」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、技術が急速に進化する現代社会で、情報技術へのアクセスが異なるために生じる格差のことを指します。
特に世代間でこの格差は顕著で、高齢者やデジタルリソースが限られている人々が、情報から取り残されがちです。
デジタルデバイドは、単に端末の使い方ができるかどうかだけの問題ではなく、信頼できる情報源へのアクセスや誤情報を識別する能力も含まれます。
情報の評価や判断能力もデジタル格差を形成する重要な要素となります。


今回は、広告やデザインがどう関わればデジタルデバイドの問題を軽減できるのかを、再考してまとめてみようと思います。



デジタルデバイドの現状

デジタルデバイドは、単なる技術問題ではなく、深い社会的影響を及ぼしていると言われています。
具体的には、経済、教育、健康、社会参加といった多岐にわたる領域で、格差が拡大しているのだそうです。

統計に見るデジタルデバイド

日本国内では、年収が低い世帯のインターネット利用率が明らかに低く、令和4年通信利用動向調査によると、年収200万円未満の世帯ではインターネット利用率が61.0%に留まっています。
これに対し、年収600万円以上の世帯では利用率が90%を超えています。
このような経済格差は、情報の量や質に直結し、さまざまな社会的機会へのアクセスに影響を与えています。


特に影響を受けている層

  • 高齢者
    デジタル技術の普及と共に、高齢者層が取り残されがちです。操作方法の習得が難しく、新しい技術への適応が必要であり、これが社会的孤立を加速させる可能性があります。
  • 地方に住む人々
    地方や離島では、通信インフラが未整備であり、インターネット接続環境の悪さがデジタルデバイドを一層深刻化させています。
  • 障がいを持つ人々
    多くのデジタルデバイスやサービスが障がいのない人々を前提に設計されており、障がいを持つ人々にとってはアクセスや利用が困難な場合があります。

これらの問題に対処するためには、デジタル技術だけでなく、それを支える政策や教育の改善が必要だと言われています。


※1:令和4年通信利用動向調査の結果
※2:令和5年版 情報通信白書|総務省


広告業界の課題

デジタルデバイドを克服するためには、技術的な障壁だけでなく、文化的・言語的な障壁も考慮する必要があります。
特に高齢者や地方の住民に向けたデジタル広告キャンペーンでは、伝統的なメディアとデジタルメディアの組み合わせが求められることが多いです。

  • 高齢者向けのアプローチ
    シンプルなデザインと直感的なインターフェースを用いた広告が効果的です。また、オフラインの接点を持つことで、信頼を築きやすくなります。
  • 地方ターゲットの戦略
    地方では、デジタルアクセスの問題を解決するために地域密着型のイベントやポップアップ広告が有効です。

デザインの工夫

デザインは、デジタルデバイドを橋渡しする強力なツールです。アクセシビリティを高めるデザインは、より多くの人々に情報を届けるための鍵となります。

アクセシビリティの向上

視覚や聴覚に障がいがある人々向けのアダプティブデザインを取り入れることで、デジタルコンテンツのアクセスを容易にします。
アダプティブデザインは、異なるユーザーのニーズに対応するために、製品やサービスのデザインを調整することです。
デジタル環境においては、ユーザーの特定の障害や要件に適応する機能やレイアウトの変更を指します。
たとえば、視覚障害がある人のために大きな文字や音声読み上げ機能を提供したり、聴覚障害がある人のためにビデオコンテンツに字幕を付けたりすることが含まれます。


インクルーシブデザインの採用

全ての人が使いやすいデザインを目指し、異なる背景や能力を持つユーザーのニーズを考慮に入れます。


このような取り組みによって、広告・デザイン業界はデジタルデバイドを緩和し、新たな顧客層を開拓しています。


デジタルデバイドとSDGs

SDGsは、より良い社会を目指し、全世界共通の17の目標を掲げています。
デジタルデバイドの解決は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも密接に関連しています。

目標4(質の高い教育をみんなに)では、デジタル技術を通じて教育アクセスの向上を目指します。
スマートフォンやオンラインリソースが普及すれば、発展途上国の子供たちも高品質な教育を受けるチャンスが増えます。

目標8(働きがいも経済成長も)においては、デジタル技術の進歩が経済成長を促進し、包摂的で生産的な雇用を創出する手助けをします。
ICTの活用により、多様な職業で働きやすい環境が整います。

目標10(人や国の不平等をなくそう)では、デジタルデバイドをなくすことが国内外の不平等の是正に直結します。
経済的、年齢、障害などの社会的要因によるデジタルアクセスの格差を解消することが重要です。


このように、デジタルデバイドの解消はSDGsの多くの目標に貢献する役割も担います。


デジタルデバイドの取り組み事例

デジタルデバイドに取り組んでいるいくつかの事例を紹介します。

渋谷区×KDD:高齢者デジタルデバイドの解消に向けた協定を締結
渋谷区とKDDI株式会社は2024年2月7日に高齢者のデジタルデバイド解消に向けた協定を締結しました。
この協定は、高齢者がデジタル機器やアプリを使って生活の質を向上させることを目的としています。2021年から2023年の間に行われた実証事業では、1,526名の高齢者にスマートフォンが無料で貸し出され、多くの高齢者がスマートフォンを活用し続けています。
本協定では、スマートフォン講座の開催、スマートフォン相談所の設置、健康アプリの利用などが行われ、高齢者のフレイル予防にも貢献しています。

https://news.kddi.com/kddi/business-topic/2024/02/7202.htmlより引用


・富士通:デジテク・カード
デジテク・カード、デジタル技術の実現可能なアイデアを発想するためのツール、がIAUD国際デザイン賞2023で金賞を受賞しました。
デジタルテクノロジーカードは、専門家でなくてもデジタルテクノロジーを直感的に把握できるアイデア発想支援ツールです。
高齢者施設、NGO、ボランティア団体、地方自治体、営利団体など様々な分野でデジタルサービスやソリューションの革新と開発を促し、デジタルトランスフォーメーションを加速することを目的としています。

https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/design/activities/digitechcard/より引用


今回は、広告やデザインがどう関わればデジタルデバイドの問題を軽減できるのかを再考しまとめてみました。
デジタルデバイドとは単に技術的な障壁ではなく、社会的な障壁でもあります。企業がデジタルデバイドに対応することは、社会全体の利益に繋がることだと感じています。