組織のアイデンティティを形作る:ロゴマークの活用

2024年4月13日から開催される、こちらの展示会の記事を読みました。
「Sony Design Gallery」がスタート テクノロジーのロゴデザインを紹介する展示を開催 | Webマガジン「AXIS」

https://www.axismag.jp/posts/2024/04/583507.htmlより引用


ロゴマークといえば、多くの人が企業のシンボルを連想するかもしれませんが、企業以外にもさまざまな場面でも活用されています。


イベント、非営利団体、教育機関、スポーツチーム、地域コミュニティなど、様々な組織や活動でもロゴマークは重要な役割を果たしています。
これらのロゴは、そのグループや活動の目的、価値、精神を象徴し、一目でメッセージを伝えるツールです。


今回は、世の中に数多く存在するロゴマークについて、それぞれの目的と活用方法に焦点を当てて考察してみたいと思います。


ロゴマークとシンボルマークの違い

ロゴデザインにおいて、「ロゴ」という言葉はよく使われますが、「シンボルマーク」と「ロゴマーク」は少し違います。

シンボルマーク

シンボルマークは、文字を使わずにブランドを象徴する図形やアイコンです。
例えば、AppleのリンゴやNikeのスウッシュがこれに該当します。
これらはシンプルながらも、ブランドの価値を強く伝える力があります。


ロゴマーク(コンビネーションマーク)

ロゴマークは、文字(ロゴタイプ)と図形(シンボル)を組み合わせたデザインです。
日本ではこれを「ロゴ」と一般的に呼びます。


この2つを目的によってうまく使い分けることで、最適な表現をすることができます。


それぞれの目的を持ったロゴマーク

ロゴマークは、企業だけでなく、あらゆる組織において重要な役割を果たしています。

  • イベント
    イベントのロゴは、そのイベントのアイデンティティを表現し、視覚的に記憶に残るように設計されます。
    色鮮やかでダイナミックなデザインが多く、参加者にエキサイティングな体験を予感させます。
  • 非営利団体
    非営利団体のロゴは、その使命や価値を象徴し、支援者やボランティアに訴えかける必要があります。
    しばしば心を動かすシンボルや温かみのある色が選ばれます。
  • 教育機関
    教育機関のロゴは、権威と信頼を表現するために伝統的な要素が含まれることが多いです。知識と成長を象徴するデザインが一般的です。
  • スポーツチーム
    スポーツチームのロゴは、チーム精神と競争力を強調し、ファンに感情的な結びつきを提供します。
    鮮明な色と力強いイメージが特徴です。
  • 地域コミュニティ
    地域コミュニティのロゴは、その地域の特色や文化を反映し、住民間の一体感を促進するよう設計されます。
    親しみやすさと地域への誇りが表現されることが重要です。

ロゴマークは各組織や活動のアイデンティティを強化し、関係者や一般の人々との強いつながりを築くための重要なツールです。


ロゴマーク事例

いろいろな組織のロゴマークの事例を紹介します。

・大宮盆栽村開村100周年記念ロゴマーク
埼玉県さいたま市の大宮盆栽村が、2025年に開村100周年を記念して、若手盆栽師と協力し記念ロゴマークを制作し、ホームページも開設されました。
さらに、SNSでの発信やイベントなども展開しています。
記念ロゴは、100周年を象徴するデザインで、数字の中心に五葉松の「日暮し」を配置し、文字のかすれは盆栽の枯れ部分「シャリ」を表現しています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000140218.htmlより引用


プロ野球フレッシュオールスターゲーム2024
プロ野球フレッシュオールスターゲームの大会ロゴマーク。
開催地・姫路の象徴である美しく壮大な姫路城と夏の緑鮮やかな松の組み合わ
せで、7月の陽光、若手選手の力強さやフレッシュなエネルギーを表現しています。

https://npb.jp/news/detail/20240411_01.html より引用


・2025年東京デフリンピック大会エンブレム
2025年に東京で開催されるデフリンピック(耳の聞こえないアスリートの国際スポーツ大会)のために、デフの学生と都内の中高生が協力して大会のエンブレムを制作・決定しました。
このプロジェクトは、制作過程をメディアに公開することで大会の認知度を高め、気運を醸成する目的がありました。
東京都が、優れた広報活動を実践した職員を表彰する「伝わる広報大賞」で「PR戦略賞」を受賞しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004631.000052467.htmlより引用


・東京大学:2024年4月からのロゴマーク変更
2024年度から東京大学のロゴマークが変わります。
「世界の誰もが来たくなる大学」になるためのビジュアルアイデンティティの確立を目的としています。
学内に検討チームを立ち上げ、どのように変わるのか、なんのために変えるのか、なにを目指しているのか、大学の活動指針のもとで議論を重ねたという東大らしいプロセスでデザインされました。
世界の大学の事例を集めて分析し、東大のブランド価値を可視化するため、伝統より未来を志向する、よりモダンでフレンドリーなロゴと位置付けました。

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00272.htmlより引用


それぞれのブランドが様々な目的で価値やアイデンティティを表現し、広い範囲の観客に影響を与えることで、印象深いイメージを作り出しています。


ロゴマークの効果的な展開やPR

ロゴマークをどのように市場に展開しPRするかも非常に重要です。

  1. ローンチ戦略の策定
    ロゴの発表は、ただの公開にとどまらず、ブランドの新たな始まりを告げる重要なイベントです。
    興味を引きつけるためのローンチイベントやメディアキャンペーンの企画が効果的です。
  2. マルチメディアを活用した展開
    ロゴマークをデジタルメディア、印刷物、商品パッケージング、広告など、あらゆる触点で一貫して展示することが重要です。
    各メディアの特性に合わせた適用を考慮し、ブランドの視認性を高めます。
  3. ソーシャルメディアでの活動強化
    ソーシャルメディアは、新しいロゴマークを短時間で大規模に広める効果的な手段です。
    特定のキャンペーンやハッシュタグを使用して、エンゲージメントを促進し、ロゴマークについての会話を生み出します。
  4. ステークホルダーへの教育
    社内外のステークホルダーを対象に、ロゴマークの変更点とその理由を説明するトレーニングを行います。
    このプロセスを通じて、一貫したメッセージの伝達と正確なロゴの使用を確保します。
  5. 効果測定とフィードバックの収集
    ロゴマークの展開後、その影響を測定することが重要です。
    市場からのフィードバックを集め、ロゴの受容度や認知度を評価し、必要に応じて調整を行います。

ロゴマークの効果的な展開とPRは、ただ目立つことだけではなく、ブランドのストーリーと価値を伝えるための継続的な努力により、ブランドの核となる象徴へと進化します。


今回は、ロゴマークについて、それぞれの目的と活用方法に焦点を当てて見ました。
良いロゴは、ブランドを瞬時に認識させ、記憶に残し、言葉の壁を乗り越えたグローバルなコミュニケーションを可能にする要素にもなります。
また、共有されたシンボルとしてのロゴは、組織内の一体感を促進し、チームメンバーの意識とモチベーションを高める効果もあるため、これからの地方創生や地域活性化のPRにも適したツールだと思いました。