チラシやWebサイトを見たときに、
「うちっぽくない」
「なんだか違う気がする」
と感じたことはありませんか?
デザインにおいて見た目の整った美しさは重要ですが、それだけでは「この会社らしいね」とは思ってもらえません。
むしろ、印象に残る企業や店舗は、“らしさ”を視覚でも言葉でも自然に伝えていると感じます。
今回は、制作会社の立場から「自社らしさが伝わるデザイン」について、どのような点に気をつけているのかをご紹介します。

「自社らしさ」とは何か?
「自社らしさ」とは、ロゴや配色、フォントといったビジュアル面だけではありません。
日々の業務の中で大切にしている価値観や、接客や文章ににじみ出る“言葉のトーン”にも表れます。
例えば、以下のようなものが「らしさ」の源になります。
・社内で大切にしている言葉や理念
・お客様との距離感(カジュアルなのか、丁寧なのか)
・提供するサービスや商品の特徴
これらが明文化されていない場合、担当者によって判断がブレやすく、デザインでも統一感が出にくくなることがあります。

制作現場で意識している3つの視点
制作会社では、以下のようなポイントを意識しながら「らしさ」を整えています。
■ビジュアルの統一感を持たせる
たとえば、いつも青系のカラーで統一していたのに、突然赤を使うと「らしくない」と感じられることがありますが、色・フォント・余白などを共通のルールに沿って設定すると、自然と“らしさ”がにじみ出ます。
■トーン&マナーの整合性
文章の書き方や写真の選び方がバラバラだと、印象にブレが生じます。
「〜してください」といった丁寧な口調を使うのか、「〜しよう!」といったフレンドリーな表現にするのかを、発信物ごとに変えずに統一することで、“一貫したブランドの姿勢”が伝わります。
■表現の選び方も“らしさ”をつくる
写真の明るさや構図、イラストのタッチ、アイコンの使い方なども重要な要素です。
あえて素朴さを残すのか、洗練された表現を目指すのか等、細かな判断の積み重ねで、全体の印象が形作られます。

制作の現場でよくあるズレと対処法
実際の制作で、初稿から完成までに「なんか違う気がする」というフィードバックを受けることがありますが、その多くは、初期の段階で「らしさ」について十分に共有されていなかったことが原因だと考えています。
■担当者ごとにイメージが異なる
社内で「うちらしさ」の定義が明確になっていないと、人によって判断がぶれることがあるため、制作前に簡単な言葉で「ブランドの特徴」や「避けたい表現」を共有すると、ズレを防ぎやすくなります。
■修正のたびに方向性がずれる
段階的な修正を繰り返すなかで、元の軸が見えなくなることもあるかもしれません。制作側では「最初に定めたらしさ」をメモなどで共有しながら、都度、整合性が取れているかを確認しています。

まとめ:「なんかうちっぽいね」は、
戦略的に作れる
「うちっぽい」と感じられるデザインは、偶然の産物ではなく、明確な判断基準をもとに丁寧に整えていくことで生まれると考えています。
その判断基準となるのが「自社らしさ」。
見た目だけではなく、言葉、写真、表現方法のすべてを通して統一されていると、見る人に自然と伝わるようになります。
制作会社としても、「何を大事にしているのか」「誰に届けたいのか」を明確に共有することで、より“自社らしさ”を表現できるデザインを作成できると感じています。