「もう少し目立たせてください」
「なんとなく違和感があります」
こういった修正指示を受けたことがある方も、逆に出したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
制作物の修正は、より良い表現に仕上げていくうえでとても大切な工程です。
しかし、修正の意図がうまく伝わらなかったり、認識にズレが生じたりすると、結果的に「直したのにまたやり直し」「時間だけがかかってしまう」といった状況が起こります。
今回は、制作会社として日々の現場で感じる「伝わらない修正指示」の具体例と、改善のための工夫についてご紹介します。

「伝わらない修正指示」が起きやすい
シーンとは?
修正指示が伝わりにくいと感じる場面には、いくつかの共通点があります。
・言葉が抽象的で、意図が読み取りづらい
・判断の根拠が共有されていない
・誰が、どこを、なぜ修正したいのかが曖昧
こうした状況では、受け手が「どう直せばよいのか」を判断する材料が不足してしまい、結果的に制作の手戻りにつながってしまい効率よく作業が進みません。

よくある修正指示の例と問題点
以下のような指示が現場ではよく見られます。
■「なんとなくしっくりこない」 → 抽象的すぎて、どの部分をどう感じたのかが伝わりにくい。
■「いい感じにしてください」 → 受け手によって「いい感じ」の解釈が異なるため、完成の基準が共有されていない。
■「色がちょっと派手すぎる気がします」 → どの色のことを指しているのか、どの程度の調整を望んでいるのかが明確になっていない。

修正意図を正確に伝えるための工夫
修正指示をスムーズに伝えるには、以下のような工夫が役立ちます。
● 修正の「理由」を明確に
「この部分が目立ちすぎるように感じたため、もう少し抑えたいと考えています」と伝えることで、単なる感覚でなく目的を共有できる。
●「どこをどうしたいのか」を具体的に
「上部の見出しのフォントサイズを1段階小さくしたいです」など、具体的に言語化することで、手戻りを防げる。
● 他の資料や参考デザインを提示
「このパンフレットのトーンに近づけたい」など、比較対象を見せることでイメージの共有がしやすくなる。

制作会社側で行っている確認の工夫
一方で、制作会社側でも「意図を読み取りすぎない」「確認を怠らない」ことを意識しています。
・あえて確認の質問を返す
(例:「“目立たせたい”とは、フォントサイズの調整をご希望でしょうか?」)
・修正指示を一度要約して確認する(例:「つまり○○ということですね」)
・複数パターンを提示して、方向性をすり合わせる
こうした姿勢を取ることで、曖昧な表現のまま進行するリスクを減らすことができます。

まとめ:伝える力は、仕上がりの精度にも直結する
修正指示がうまく伝わらないと、納期の遅れやコストの増加、関係性の摩耗にもつながりますので、「どこを」「なぜ」「どうしたいのか」を共有して、仕上がりの質を大きく向上させることが重要だと実感しています。
制作現場では、“表現のすれ違い”が起こりやすいものだからこそ、丁寧な言葉のやり取りと、目的を明確にした指示が大切。
修正は、「より良いものをつくる」ための前向きなやりとりとして捉えて、制作パートナーとの信頼関係を深めていく関係性が必要です。