ローコード・ノーコード開発の小規模ビジネスでの活用

今回はこちらの記事の内容から、
「ローコード・ノーコード開発」について理解を深めたいと思います。
記事の中で、HCLジャパン・シニアディレクターである吉田賢治郎氏は、
「直接顧客と接する従業員は、ブランド力を高め、マーケティングを成功に導く上で欠かせない存在であり、ローコード・ノーコードによる“全員参加”のアプリ開発が強力な味方になる」
と話しています。


ローコード・ノーコード開発の基礎知識

ローコード・ノーコード開発は、プログラミング言語の知識がほとんど、または全く不要でアプリケーションを開発できる環境を指します。
この手法は1980年代に登場し、その後、アプリ開発におけるアクセシビリティを大きく広げてきました。
特にデジタルデバイスの使用が日常化した現代では、この開発手法の重要性が高まっています。


また、高度なITスキルを持った人材の不足が、ローコード・ノーコード開発の普及を後押ししているそうです。
従業員や顧客のニーズに迅速に対応するために、アジャイル開発や市民開発を通じて、ビジネス現場で直接アプリケーションを開発できる環境にニーズが集まっています。

※アジャイル開発とは・・・
アジャイル開発は、チームが小さな部分から始めて、短い期間(通常は数週間)で作業を完了させ、その都度フィードバックを受け取りながら、次のステップに進む方法。このアプローチにより、プロジェクトが進行する中で新しい要求や変更に迅速に対応できる。
「動きながら考え、改善していく」ことを重視した開発手法。


現場からのニーズを形に変えた例

ローコード・ノーコード開発は、ビジネス現場からの直接的なフィードバックや要望を素早く形にすることを可能にします。
消費者向けアプリケーションから従業員支援ツールまで、多岐にわたる事例が存在しており、例えば化粧品メーカーでは、店頭での顧客情報共有や手書き入力が可能なタブレットアプリが実際に開発されていたり、
航空会社では、客室乗務員のアイデアから生まれたアプリが、運行効率の向上に貢献しているそうです。


ローコード・ノーコード開発ツールの
中小企業の現状

こちらの記事によると、年商500億円未満の中堅中小企業1300社を対象にローコード・ノーコードツールの導入状況を調査した結果、
「導入済み」の企業が34.5%を占め、導入を検討している企業も存在する一方で、「導入予定なし」または「判断不可」を選んだ企業も合わせて45.2%に上ります。

導入企業が直面する課題としては、ツール固有の知識やスキルの必要性コーディングが意外と頻繁に必要になるケース、そして実現できる機能や画面の仕様に限界があることが挙げられており、
ローコード・ノーコード開発ツールがすべての企業にとって万能の解決策ではないことを示していると思います。

ノークリサーチの分析によると、実現できる機能の限界やコーディングの必要性が高いと感じる場面が多いことが、導入後のフラストレーションにつながり、最終的にはツールの廃止を決定する主因になっているようです。
これらの課題は、導入前には予想しづらい側面があり、実際に使用を開始してみないと明らかにならないことが多いと思います。


小規模ビジネスでローコード・ノーコード開発を
活用する際の注意点

上記を踏まえて、小規模ビジネスでローコード・ノーコード開発を活用する際の注意点として、下記のようなことが考えられると思います。

  • 「全くコーディングせずに何でもできるわけではない」ことを知っておく
    ローコード・ノーコード開発が可能なツールは多くのものがありますが、それぞれ固有の知識やスキルが必要であったり、機能や画面の仕様に制限がある場合も多いです。
    あらかじめツールの特徴と限界を知っておくことで、現実的な期待値を持つことが大切かと思います。
  • 明確な目標を設定する
    アプリケーションで達成したいことを明確にしておくことで、複数の開発環境の中から自社に合った適切なプラットフォームと機能の選択が可能になると思います。
  • 費用対効果を考える
    初期コストだけでなく、継続的なサブスクリプション料金や追加機能のコストも考慮に入れて、長期的な視点で費用対効果を評価することが重要だと思います。
  • 過度なベンダー依存に注意する
    特定のプラットフォームやサービスプロバイダーへの過度な依存はコストの増加や技術の制約、サービスの中断などのリスクを高めるため、将来的に他のソリューションへの移行が可能かどうかも検討することが大切だと思います。

始めに紹介した記事の中では、複数のプラットフォームを併用することの重要性についても述べていました。
システムを導入する際は、自分たちでよく理解すること、自分たちでコントロールできるようにトレーニングする機会を十分に持つことが大切だと考えます。
またシステムを提案する側としても、クライアントのビジネスモデルや業務フローを深く理解した上での提案が大切だと感じました。