広告といえば、「商品やサービスを知ってもらい、買ってもらうためのもの」と思われがち。でも最近は、その考え方だけではなかなか効果が出にくくなってきていると感じます。
私たち制作会社は、日々さまざまな広告やコンテンツづくりに関わっています。
そのなかで実感しているのが、今の広告では「この商品が安い」「便利」という情報よりも、「この会社の考え方に共感できる」「このサービスは自分の価値観に合っている」といった気持ちが大切にされている、という変化です。
今回は、そうした変化を踏まえて、今の時代に合った広告のあり方について、制作会社の視点からお伝えしたいと思います。

広告のゴールが“売ること”から
“共感されること”に変わってきている
昔の広告は「この商品は安くて高性能です」「いま買えばおトク」といった、“買ってもらう”ためのメッセージが中心でした。もちろん、今でもそうした情報は大切です。
でも、商品やサービスがあふれている今、価格や機能の違いだけでは選ばれにくくなっており、その原因がどれも似たように見えてしまい、違いが伝わりにくいからです。
そんな中、「この商品は、こういう想いでつくられています」「この企業は、こんな社会課題に取り組んでいます」といった“姿勢”が見えると、「なんかいいな」「応援したい」と思ってもらえるようになってきています。
実際に、「このブランドの考え方に共感したから購入した」という声を聞くことも増えており、広告の目的が“共感づくり”にシフトしていると感じます。

誰に届けるかよりも、
“どう見られたいか”が大切に
広告をつくるとき、「ターゲットを決めること」はこれまでとても重要とされてきました。
たとえば「30代女性で、○○に興味がある人」といったように、年齢や性別、趣味などから広告を設計する考え方です。
ですが最近では、同じ属性でも人によって価値観や情報の受け取り方がまったく違うことが多くなっています。
そのため、「この人に向けてつくる」というより、「どう思われたいか」「どんな印象を持ってほしいか」という“見られ方”を意識するほうが、共感につながりやすいと感じています。
たとえば、「信頼できそう」「親しみやすい」と思ってもらえるようにすることで、その企業やブランドに興味をもってもらいやすくなります。
小さな“姿勢”が
信頼や共感につながる
今は、企業がどんな想いで商品を作っているのか、どんなふうに社会や地域と関わっているのかに注目が集まるようになっています。
たとえば、
- プラスチックを減らすパッケージを使っている
- 働きやすい環境づくりに取り組んでいる
- 地元の企業や農家と協力して商品を作っている
といった小さなことでも、「そういうところが好き」「応援したい」と思ってもらえるきっかけになります。
広告の中でそうした姿勢を伝えることで、商品そのもの以上に「その企業らしさ」が伝わり、信頼や共感につながっていきます。

まとめ:広告は“売る”より
“つながる”ためのものに
今の広告は、「買ってください」と一方的に伝えるものではなく、「私たちはこう考えています、それに共感してくれる人とつながりたい」という考え方に変わってきているように感じます。
私たち制作会社としても、広告をつくるときには、商品の情報だけでなく、その背景にある企業の姿勢や想いも含めて伝えていくことが大切だと思っています。
これからの広告は、ただ目立たせるのではなく、「ちゃんと伝える」「ちゃんと届ける」ことが求められるのではないでしょうか。
“買ってもらう”より“共感してもらう”。そんな広告づくりが、これからますます大切になっていくと考えています。