広告やパンフレット、Webサイトなどを制作する際、つい「完成すること」自体が最大の目的になってしまいがちです。
もちろん、形にすることは大きな区切りであり、ひとつの達成感を得られる瞬間でもありますが、私たちは、「完成=ゴール」ではなく、「完成=スタート」と捉えるようにしています。
というのも、情報というものは、決して静的なものではありません。
商品内容の変更、新たなサービスのリリース、キャンペーンの終了や開始、営業時間や所在地の変更など、さまざまな要素が時間とともに変化していくのが現実で、特に制作物は、そうした“変化に対応できる柔軟さ”を備えていなければ、せっかくのデザインや情報がすぐに古くなり、活用しづらくなってしまいます。
そこで今回は、制作会社の立場から「更新しやすさ」を意識した構成や設計の工夫について、具体的な視点でご紹介していきながら、完成後も運用しやすく、長く活用できる制作物にするためのヒントとして、参考にしていただけたらと思います。

そもそも、なぜ“更新しにくい”と
困るのか?
完成した時点では完璧に見えても、いざ少し変更したいと思ったときに、次のような問題が生じることがあります。
- 編集を依頼できる人が限られている(社内にツールを扱える人がいない)
- ちょっとした修正なのに、全体を見直す必要がある
- 一部を変更したら、見た目のバランスが崩れてしまう
- 修正のたびに外注費や時間がかかり、コストが膨らむ
こういった状況は、ちょっとした更新のつもりが「手間と費用のかかる作業」になってしまう原因となりがち。
そのため、初期段階から「あとで変更があるかもしれない」という前提で制作に取り組むことが、結果的に運用のしやすさにつながると考えます。

更新しやすくするための工夫
1. 情報の“変わる部分”を見極めて分けておく
どの情報が定期的に変わりそうかを事前に想定し、その部分を独立した構成にしておくことが重要です。たとえば、
- 営業時間や連絡先
- 価格表やメニュー内容
- キャンペーンやお知らせ情報
こうした項目は、「差し替えやすいエリア」にしておくと、いざという時に簡単に更新できます。
Webサイトであれば、CMS(コンテンツ管理システム)を活用して、担当者が自分で更新できる仕組みにするのも有効です。

2. 汎用性・再利用性の高い構成にする
デザインや構成がひとつの用途に固定されていると、他の媒体で使い回すことが難しくなります。そこで、
- SNS投稿や社内報など別媒体でも活用できるよう、構図や色使いを汎用的に設計
- 一部の文言や写真を変えるだけで再利用できるテンプレート形式に
といった工夫を取り入れると、さまざまな場面で流用しやすく、効率的な活用が可能になります。

3. 修正しやすい形式での納品を意識する
「ちょっとした文言の修正」や「画像の差し替え」など、軽微な変更は社内で済ませたいという声をよくいただきます。
そのため、
- PowerPointやCanvaなど、非デザイナーでも扱いやすい形式での納品
- 印刷物にはAIデータ(Illustrator)+PDFでの納品
- Web更新用にはCMSの編集権限と簡単なマニュアルもセットでご提供
など、用途とスキルに応じた納品スタイルを柔軟にご提案しています。

まとめ:更新しやすさを意識すれば、
長く活かせる
制作物は、完成したその瞬間がゴールではなく、運用が始まってからこそが本番です。
「変更が前提」とまでは言わなくても、更新や活用の視点を取り入れた設計にしておくことで、
- 社内でスムーズに情報を更新できる
- 運用にかかるコストや時間が削減できる
- 制作物がより長く使える
といった、さまざまなメリットが得られます。
「今後、変更の可能性がある」
「複数部署でも使いまわすかもしれない」
そんな想定がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
ご要望に応じた“更新しやすさ重視”の設計をご提案をおこない、長く付き合える、活用しやすい制作物を一緒に作っていけたらと思っています。