制作物に対してフィードバックを伝えるとき、「修正をお願いします」と依頼するのはごく自然なやり取り。
しかし、私たち制作サイドでは、「修正」という言葉に少し違和感を持つことがあります。
もちろん、誤字脱字や仕様違反のように、明らかなミスは「修正」が必要です。
ですが実際には、それ以外にも
「もっとこうしたほうがよくなるのでは?」
「もう少しターゲットに刺さる表現にできないか?」
といった、完成度を高めるための提案も多く含まれます。
今回は、そうしたフィードバックを前向きに受け取り、よりよい制作物を一緒につくっていくための「ブラッシュアップ」という考え方について、制作会社としての視点からご紹介します。

「修正=ミスを直す」とは限らない
「修正」と聞くと、「何か間違っている箇所を直す」という印象を持つかもしれません。
たしかに、事実誤認やルール違反がある場合には、それを正す必要があります。
ですが、現場でのフィードバックの多くは、“よりよくする”ための提案です。
たとえば、
- キャッチコピーをもっとインパクトのある言葉にできないか?
- 写真の雰囲気を少し柔らかくできないか?
- 全体のレイアウトを見直して読みやすくならないか?
など、「正解がひとつではない」「好みによって変わる」ような内容が多くを占めています。
だからこそ、制作側としてはそれを“ミスの手直し”と捉えるのではなく、「完成度をさらに高めていくプロセス」として、「ブラッシュアップ」という前向きな言葉を使っています。

ブラッシュアップは「共創」のプロセス
制作物は、依頼者と制作者のやりとりの中で完成に近づいていくもので、その途中で出てくる「ちょっと違和感がある」「もう少しこうしたい」といった声は、むしろ作品の質を高める貴重なヒントです。
そういった意見に耳を傾けながら、時には意見をすり合わせたり、新たな方向性を模索したりすることで、より良いアウトプットに近づいていきます。
「修正=悪いところの手直し」ではなく、
「ブラッシュアップ=一緒に完成度を高めていく」
という捉え方ができれば、制作のやりとりそのものがもっと建設的で、ポジティブなものになると考えています。
制作側が意識していること
私たちがフィードバックを受け取るとき、単に「言われた通りに直す」だけではなく、より良い提案に昇華できるよう以下のことを意識しています。
- 単なる要望として受け取るのではなく、その背景にある意図や目的を読み取る
- 表現の意図と修正要望のバランスを考えながら、別の選択肢も視野に入れて検討する
- 時には代替案や補足提案を提示して、方向性の可能性を広げる
こうした対応により、「本当に伝えたいこと」がきちんと伝わるアウトプットに近づけていきますので、依頼者の意図を深く汲み取ることは、より高い満足度や信頼関係にもつながっていきます。

まとめ:「ブラッシュアップ」という
前向きな協働へ
制作におけるフィードバックは、ただの“修正依頼”ではありません。
それは、依頼者と制作者が共に考え、より良いものを作り上げていくための重要なやりとりです。
「修正=悪いところを正す」ではなく、
「ブラッシュアップ=一緒に磨き上げていく」
という考え方を共有することで、やりとりの質が高まり、より良い制作物につながります。
制作側としても、そうした姿勢でフィードバックに向き合うことで、提案力の強化や品質向上につながっていくと感じています。