広告やチラシ、Webサイトを制作会社に依頼したとき、「最初に話をするのは、デザイナーではないんですね」と驚かれる方もいらっしゃいます。
実際に制作会社で最初にご相談をお受けするのは、ディレクターであることが多いかもしれません。
ディレクターは、完成した制作物にはあまり名前が出てこないため、その存在が知られていないことも多いかもしれませんが、実は“伝わる広告”をつくるうえで、とても重要な役割を担っています。
ディレクターがどんな役割を果たしているのか、どんなときに頼りになるのかを、できるだけわかりやすくご紹介できればと思います。

ディレクターって何をする人?
ディレクターは、広告や制作物に関わる「全体の進行管理」や「クライアントとのやりとり」「品質のコントロール」などを担当しています。
たとえば、目的に応じた企画を立てたり、制作スタッフに指示を出したり、スケジュールや予算を管理したりと、多岐にわたる業務を行っています。
一言で言うと「現場全体を見ながら、制作をスムーズに進める役割」と言え、映画でいえば監督、建築でいえば現場監督のようなポジションです。

ディレクターとデザイナーの違い
「ディレクターは、デザインはしないんですか?」と言われることも。
確かにそう思われがちですが、実際のデザイン作業は専門のデザイナーが担当していて、私たちディレクターは異なる役割を担っています。
ディレクターは、クライアントの要望や意図を整理して、それを制作スタッフにわかりやすく伝える「橋渡し」のような存在で、完成物が意図通りの仕上がりになっているか、全体の整合性が取れているかなどを確認する役割もあります。

ディレクターがいることで
広告が伝わりやすくなる理由
広告づくりのなかでは、情報が整理しきれていなかったり、関係者それぞれの視点がバラバラになっていたりすることもよくありますが、そうしたときにディレクターが関わることで、伝えたいことがより明確になり、届けたい相手にしっかりと伝わる広告につながると考えており、たとえば次のような工夫や視点が挙げられます。
・目的やターゲットを整理して、適切な方向性に導く
・表現が一貫するように調整を行う
・情報が多すぎたり、分かりにくくなっていないかを確認する
とくに、伝えたいことがたくさんあるときや、関係者が多くなるプロジェクトでは、全体のバランスを見ながら設計を整えていくことが求められますので、誰に、何を、どのように届けるのか、その道筋を一緒に描いていくことで、広告の「伝わり方」は大きく変わってくると思います。

ディレクターには
“伝え方”の相談もできる
「デザインは決まっていないけれど、何を作るべきか悩んでいる」
「伝えたいことはあるけれど、どう表現すれば良いかわからない」
こうしたご相談をいただくことは、実際によくあります。
伝えたい想いや情報があるけれど、どこから手をつければいいかわからないというときには、まずディレクターにお話しいただくことで、考えが整理されて前に進むきっかけになることが多くあります。
ディレクターは、広告や販促物の「目的」に合わせて、どんな見せ方がよいか、どの媒体が適しているかなど、伝え方全体のご提案を行うことも。
たとえば、チラシとして配るほうが伝わりやすいのか、Webページでじっくり読んでもらうほうが良いのか。写真を多く使ったほうがいいのか、それとも言葉で丁寧に伝えるべきか。そうした判断も一緒に考えていくことができます。
デザインを始める前の段階から関わることで、広告全体の設計からサポートできるのが、ディレクターの特徴だと考えています。

まとめ:見えにくいけれど、頼れる存在
ディレクターは、完成した広告やデザインには名前が出てこないことも多く、表に出る役割ではないかもしれません。
けれども、クライアントの意図を整理し、スタッフと制作をつなぎ、広告が「伝わる形」に整うまでを見守る存在でもあります。
「うまく説明できないけれど、伝えたい気持ちはある」
そんな時こそ、ディレクターに相談していただくことで、思ってもみなかった形で想いが形になることもありますので、制作会社とのやりとりのなかで、ぜひ“相談できる存在”として、ディレクターのことも知っていただけると嬉しく思います。