「Cookieレス時代」の基礎知識

こちらの記事を読みました。
みなさん「Cookieレス時代」という言葉をご存知ですか?
「Cookieレス時代」とは、第三者Cookie(サイトの所有者ではない第三者がユーザーのブラウザに設定するCookie)の使用が徐々に廃止されていることにより、Webブラウジングにおけるユーザー追跡とデータ収集の方法が大きく変化している時代を指します。


従来、マーケターや広告主は、ユーザーのオンライン行動を追跡し、パーソナライズされた広告を表示するために第三者Cookieを広く使用してきました。
しかし、ユーザーのプライバシーに対する懸念が高まる中、多くのブラウザが第三者Cookieのサポートを段階的に廃止し始めており、この変化はマーケティング戦略に大きな影響を与えています。


今回はまず、そもそもCookieとは何なのかを整理してから、Cookieレス時代に突入している背景や問題点、小規模ビジネスへの影響などを掘り下げてみたいと思います。


Cookieの基本

Cookieとは何か?

Cookieは、ウェブサイトを訪れた際にユーザーのブラウザに保存される小さなテキストファイルです。
このファイルには、サイト訪問者の設定や行動情報が含まれており、再訪時にサイトがユーザーを「覚えている」ためのキーとなります。
ログイン状態の維持ショッピングカートの内容保存言語設定の適用など、ユーザーエクスペリエンスの向上に役立つ重要な役割を果たしています。


ファーストパーティCookieとサードパーティCookie

Cookieには、主に2種類が存在します。
ファーストパーティCookieは、ユーザーが直接訪れたウェブサイトによって設定されるものです。
これらは主に、ウェブサイトの機能性向上やユーザー体験のカスタマイズに利用されます。


一方、サードパーティCookieは、ユーザーが訪れたウェブサイト以外の第三者によって設定されます。
これらは広告配信や行動追跡、分析目的でよく用いられ、ユーザーの興味や行動パターンに基づいたターゲティング広告の表示に役立てられてきました。


しかし、プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieの使用に対する規制が強化され、その利用方法や範囲に大きな変更が求められています。この変化は、デジタルマーケティング戦略において、新たなアプローチを模索するきっかけとなっています。


Cookieレス時代の到来

サードパーティクッキーへの規制強化

デジタルプライバシーに対する関心の高まりは、サードパーティCookieの使用に対する規制を強化することにつながりました。
AppleのSafari、MozillaのFirefoxは早くからトラッキング防止機能を実装し、Googleも2023年までにChromeでのサードパーティCookieのサポートを段階的に終了すると発表しました。
これらの動きは、デジタル広告やマーケティング戦略に大きな変革をもたらしています。

Cookieレス時代への移行

サードパーティCookieの利用が難しくなる中で、よりプライバシーを尊重し、ユーザー同意に基づいたデータ収集と活用の方法が求められています。
これにより、ファーストパーティデータの価値がより一層高まっています。


ファーストパーティデータ(First-Party Data)とは、企業が直接顧客から収集したデータのことを指します。
このデータは、企業が所有するウェブサイト、アプリ、CRM(顧客関係管理)システム、ソーシャルメディアチャネル、メールマーケティングキャンペーン、顧客アンケートやフィードバックフォーム、さらにはオフラインのイベントや店舗での取引から収集されることがあります。
ファーストパーティデータには、顧客の基本情報、購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴、顧客の好みや関心、行動パターンなど、多岐にわたる情報が含まれます。



ファーストパーティデータの重要性

ファーストパーティデータは、直接顧客から得られる情報であり、その精度と信頼性はサードパーティデータに勝るとも劣りません。
企業は自社のウェブサイトやアプリ、オンラインフォームを通じて、顧客の同意を得ながら直接的な顧客情報を収集できます。
このようなデータは、顧客との関係を深め、カスタマイズされたマーケティング戦略を展開するための基盤となります。


Cookieレス時代においては、企業がどのようにしてファーストパーティデータを収集し、活用するかが、競争優位性を維持する鍵となります。
プライバシーに配慮した顧客体験の提供と、顧客の信頼を築くことがこれまで以上に重要になってくると考えられます。


小規模ビジネスのための対策

インターネット広告などを使用している企業にとっては、Cookieレス時代への対応は避けては通れない問題だと思います。
小規模ビジネスにおける、Cookieレス時代への対応については以下のようなことが言われています。

  • ファーストパーティデータの積極的な収集

顧客との直接的な接点を活用してファーストパーティデータを収集することが重要で、ウェブサイトやソーシャルメディアオフラインイベントポイントプログラムなど、様々なチャネルを通じて顧客情報を得ることを考える必要があるそうです。
顧客からの同意を明確に得た上で、メールアドレス、購買履歴、好みや興味などの情報を収集し、それを基にしたパーソナライズされたコミュニケーションを行うことが重要です。

  • 顧客エンゲージメントの強化

顧客エンゲージメントを高めるためには、収集したデータを活用して顧客に価値を提供する必要があります。
例えば、顧客の過去の購買履歴に基づいたおすすめ商品の提案や、特別な割引クーポンの提供などが挙げられます。
また、顧客が関心を持ちそうなコンテンツを定期的に配信することで、ブランドへの忠誠心を高め、継続的な関係を築いていくことができます。

  • プライバシーポリシーの明確化

データプライバシーへの関心が高まる中、顧客が自分のデータがどのように使用されるのかを理解し、それに対して同意することができるようにすることが不可欠です。
そのためには、透明性のあるプライバシーポリシーをウェブサイトに掲載し、データ収集の目的や使用方法、顧客の権利などを明確に伝える必要があります。

  • 新しいテクノロジーへの適応

Cookieレス時代に向けて、新しいテクノロジーやツールへの適応も重要だと言われています。
カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を使用することで、ファーストパーティデータを一元管理し、より精度の高いターゲティングやパーソナライズを行うことが可能になるそうです。


※カスタマーデータプラットフォーム・・・
企業内に散在する様々なシステムから収集したデータを統合して、顧客プロファイルを作成する顧客データベース。
CDPの具体例についてはこちらのサイトが参考になりました。
(CDPツールおすすめ比較10選!選定ポイントや導入時の注意点も解説|marketing X by goo)



Cookieレス時代の到来は、小規模ビジネスにとっても大きな変革となりますが、これを機に自社のマーケティング戦略を見直し、顧客とのより密接な関係を築くチャンスでもあると感じました。