「さて、書くか」と意気込んでPCを開いたものの、画面の白さが目に痛いだけで一歩も進まない。そんな経験、ありませんか?
ライティングにおいて、実は一番エネルギーを使うのは「タイピング」ではなく、その前段階にある「素材探し」、つまり「何を、どう書くか」を自分の中で決めるまでのプロセスだと感じています。
今回は、『書き出しの一歩目』が見つからない時の、脳の動かし方について考えてみようと思います。

「頭の靄(もや)」は、脳がサボっていない証拠
書き出しの一歩目が見つからないとき、頭の中は深い「もや」がかかったようになっています。
「ネタがない」というより、自分の中に断片的な情報はたくさんあるのに、どれを手に取ればいいのか、どう繋げればいいのかが分からず、脳がフリーズしてしまっている状態です。
制作会社の現場でも、この「もや」に苦しむ時間は日常茶飯事です。でも、実はこの動けない時間こそ、脳がフル回転して情報の輪郭を掴もうともがいている、重要な時間でもあると感じています。
一歩目を見つけるための「視線の外し方」
無理に「もや」を突き進もうとすると、余計に視界は狭くなります。
そんな時、私たちが意識的に行っているのが、「あえて全然違うことをして、脳を再起動させる」という選択です。
一度PCを離れ、コーヒーを淹れる、窓の外を眺める、あるいは好きなものに触れてリラックスする。
一見制作を止めているように見えますが、これは『書かなきゃ』というプレッシャーを忘れて、アイデアが入ってくる『隙間』を作るための時間だと思っています。
ふとした瞬間に、「あ、あの一言から書き始めればいいんだ」と、一歩目の素材がスッと目の前に現れる。
プレッシャーから視線を外すことで、素材の輪郭がはっきりしてくる気がします。

締め切りという名の「もや払い」
そして、迷える脳に最後の決断を迫るのは正直「締め切り」だと感じています。
締め切りが近づくと、私たちの脳内には強烈な風が吹き抜けます。
情けない感じもしますが、締め切りが迫ると、「あれもこれも」と抱え込んでいた余計な迷いや情報の断片は吹き飛ばされ、「これだけは伝えなきゃいけない」という一本の筋道だけが、霧の向こうからくっきりと姿を現す感じがします。
締め切りは焦りますが、強制的に『覚悟』を決めさせてくれる装置でもあるのかもしれません。
「止まっている時間」を味方につける
もし今、あなたが白紙を前に「一歩目が出ない」と悩んでいるなら、それはあなたの脳が最高のアウトプットを出すために、一生懸命に素材を吟味している最中です。
無理に書こうとせず、一度離れる勇気を持ってください。そして、迫る締め切りを「思考の霧を晴らしてくれる装置」だと信じてみてください。
キーボードを叩いていないその「空白の時間」こそが、誰かの心に届く一文を生み出すための、一番大切なプロセスだと思っています。