広告制作の現場では、「これが正解だ」と確信を持って進められることは、実はそう多くありません。
特に新しい企画や新商品、初めて取り組むキャンペーンでは、最初から明確な答えが見えていることの方が珍しい場合が多いのですが、それでも必要であれば制作は動き出さなくていけません。
「とりあえず出してみる」
「対話しながら考える」
実はそんなスタンスが、結果的にうまくいくことも多いのではないかと感じることがあります。
今回は、「完璧な企画ができてから進めたい」と思い悩んでいる方に向けて、“正解がわからない”からこそできる広告制作の進め方について、制作会社の立場からご紹介してみたいと思います。

完璧を求めすぎると、
動けなくなることがある
「もっと良いアイデアが浮かぶかもしれない」
「ターゲットに本当に刺さるかわからない」
「一度出したら、もう直せないのではないか」
そんな不安から、なかなかプロジェクトが動き出せないこともあるのではないでしょうか。
実際、私たちのもとに寄せられるご相談の中にも、
「まだ企画段階なのですが、早すぎますか?」
といった声が少なくありません。
けれども、広告や制作物は、動きながらブラッシュアップ(改善)していくことで、より良い形に近づいていくケースもあると思っています。
完璧なスタートを目指すよりも、小さくても一歩踏み出すことが、次の展開を見つけるきっかけになることが多いと感じています。

とりあえず“仮”で出してみることの
大切さ
制作の初期段階では、あえて「完成形」を目指さずに「仮の案」として出してみるという方法もあります。
たとえば、
- コピー(文章案)を数パターンつくってみる
- ラフスケッチ(簡単な下書き)を共有する
- ペルソナ(想定するお客さま像)ごとに反応を想定してみる
こうした“仮のたたき台”をもとに、「どれが一番しっくりくるか」を対話しながら見極めていく方法は、多くの現場で役立っており、「とりあえず出してみる」という姿勢には、柔軟な視点や意見を取り入れる土台があるため、関係者との合意形成もしやすくなるメリットがあります。

試行錯誤を前提にした
“作り方”の設計
広告制作は一発勝負ではなく、つくっては見直し、必要に応じて改善するという流れを前提にすることで、心理的なハードルも下がりますので、そのために、私たちが意識していることのひとつが、「段階的に制作を進める」進行の仕方です。
たとえば、
- まずは構成やラフを確認してもらう
- 写真やコピーなどは仮素材で入れて、全体の雰囲気を確認する
- 本番前に簡単なテスト配信やモニター評価を試してみる
このように、途中段階を共有しながら進めることで、「思っていたのと違った」というズレも減らすことができますし、関係者全体の納得感も高まると感じています。

「正解」を探すより、
「納得できる形」を探す姿勢
広告の“正解”は、時間や市場、受け手によっても変わっていきます。
「これが絶対に当たる」という保証がないからこそ、仮説を立てて、検証して、また改善していく——というプロセスが大切だと考えています。
「正解を当てにいく」ということももちろん大切ですが、「納得できるアウトプットを、一緒に作っていく」という考え方のほうが、現場では現実的で、結果としてうまくいくことが多いと実感しています。
まとめ:わからないからこそ、
動ける強さがある
「正解がわからない」
「何が良いかわからない」
そんなときほど、まずは一歩動いてみることが大切。
広告制作においても、初期のアイデアをもとに試してみて、反応を見ながら改善を加えることで、より効果的なものへと育っていくことが多くあります。
「とりあえず、考えを出してみる」
「途中の段階でも、共有してみる」
そんな柔軟な進め方は、チーム全体の視野も広げ、制作物の質を高めることにもつながりますので、動きながら、正解に近づいていくスタンスが、広告制作の場ではとても心強い考え方になるのではないでしょうか。