そのままの姿が信頼になる。「編集なし動画」の時代と広告の新しいかたち

動画制作=編集ありき、という常識を覆す新たなトレンドが、今YouTubeで静かに広がっているそうです。
「編集をしないことで、むしろファンが増える」という現象が起きています。

私たち広告制作会社も、こうした「無編集動画」を活かした発信方法を企画・サポートする機会が増えてきました。
今回は、あえて飾らない動画がなぜ支持されるのか、小さな企業でも取り入れやすい理由と一緒にご紹介したいと思います。


「編集しない動画」ってどんなもの?

「編集しない動画」とは、その名の通り、撮影した映像をほとんど編集せずに公開する動画スタイルです。
細かいミスや間、余白をあえて残すことで「リアルさ」や「親近感」を伝えるのが特徴です。

例えば、

  • 手元の作業をひたすら映すだけの職人動画
  • おしゃべりしているだけの一人語り
  • 家事の様子や仕事の裏側を見せる日常Vlog

これらはどれも派手ではありませんが、「自分にもできそう」「なんだか落ち着く」と視聴者から好意的に受け止められるケースが増えていると言われています。


なぜ今「編集なし」がウケるのか?

編集しない動画が注目される背景には、視聴者の心理の変化があります。

  • リアルな臨場感:カットされていないことで、「そこにいる感じ」が生まれ、没入感が高まる。
  • 親近感や共感:失敗も含めて全部見せることで、「自分と似てる」と思ってもらえる。
  • 信頼感の向上:「加工されていない=嘘がない」と感じてもらいやすい。

特にZ世代や30代前半の層には、「きれいすぎる世界観」に疲れた人も多く、リアルな姿を見せる方が好印象につながる傾向があると言われています。


バズった“編集なし”動画の実例

ここでは、実際に話題になった編集なし動画の一部をご紹介します。

1. 丁寧じゃない暮らし。もも子(主婦Vlog)

  • 年始早々、やる気ゼロの主婦の日常をそのまま配信。
  • 炊飯器の中が汚れていても、部屋が散らかっていても気にしない。
  • 視聴者から「わかる〜!」「私だけじゃなかった」と共感が続出。

2. とある男が授業をしてみた(教育系)

  • 授業を一発撮りして、カットせずにそのままアップ。
  • 板書ミスも、噛んだ部分も、全部そのまま。
  • 「リアルな先生みたいで集中できる」と信頼を獲得。

3. 堀江貴文(ホリエモン)のニュース解説動画

  • 社会問題や経済ニュースについて、ほぼ編集なしの「撮って出し」で語るスタイル。
  • ホワイトボードもテロップも使わず、一人でスマホに向かってしゃべるだけのシンプルな構成。
  • 「台本なし」「編集なし」でも説得力があり、視聴者は“生の意見”に触れている感覚を得られる。
  • コメント欄には「ライブ感があって好き」「本音が伝わってくる」といった声が多く、共感や信頼を集めている。

こうした事例からも、“完璧じゃない”ことが、逆に人の心をつかむ時代になっていることがわかります。


小規模ビジネスでもできる!
無編集動画の活用法

編集がないぶん、動画を出すハードルが下がるのもメリットだと思います。
忙しい小規模ビジネスにこそ、このスタイルは向いているかもしれません。

▼ すぐにできる企画アイデア

  • 商品づくりの様子を見せる
    • パンの仕込みや焼き上げなど、作業の流れをそのまま撮影。
  • お店の開店準備をライブ風に撮影
    • 朝の掃除やセッティングの様子。静かに始まる一日の雰囲気が好まれる。
  • スタッフ同士の雑談やミーティング風景
    • 自然体の会話を見せることで、人柄や社風が伝わる。
  • 商品の簡単な紹介・プレゼン
    • 1分以内で話す“ワンカット商品紹介”もおすすめ。

どれも特別なスキルは不要で、スマホ1台あれば、今日からでも始められます。


コメント欄が育てる
“ファンとの関係”

「編集しない動画」では、視聴者が投稿者に親しみを持ちやすいため、コメントも増えやすい傾向があります。

たとえば:

  • 「私も掃除できてなくて…共感しました」
  • 「先生の声で眠気が吹き飛びます!」
  • 「次の動画も楽しみにしています」

こうした声に丁寧に返信することで、“ただの視聴者”が“応援してくれるファン”に変わっていきます。


編集しない動画を
成功させるためのポイント

無編集だからといって、何も考えなくていいわけではなく、成功のためには、次のような工夫が必要です。

  • 伝える内容を決めてから撮る:何を伝えたいかを明確に。
  • 照明や音声に最低限の配慮を:見づらい・聞きづらい動画は敬遠されます。
  • “自然体”の中にもストーリーを:変化や気づきがあると最後まで見てもらえる。
  • 継続的に投稿する:1本バズるより、じわじわ信頼を積み上げていくことが大切。

YouTubeには、テンポの良い編集動画が数多く並んでいます。ですが、だからこそ今、あえて“飾らない動画”が視聴者の心に響くようになっています。

「プロっぽさ」よりも、「等身大の姿」や「リアルな想い」が求められている今、無編集動画は、企業や店舗の“人となり”を伝える、まさに新しいブランディングの形とも言えるでしょう。

私たち広告制作会社としても、こうした編集に頼らない動画の企画・撮影・投稿までのサポートも行っております。
「手軽に動画を始めたい」「広告っぽくない発信を試してみたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。


参考記事
・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000645.000044800.html