安定は停滞のサイン?制作現場が陥る「マンネリ化」の兆候と脱却するための視点

制作会社というビジネスモデルにおいて、プロジェクトの「開始」と「終了」は必然のサイクルです。
しかし、長くお付き合いが続いた案件が終了するタイミングというのは、やはり私たちにとって、自社のあり方を見つめ直す大きな機会となります。

先日、弊社でも長く携わらせていただいたプロジェクトが一区切りを迎えました。 円満な契約満了ではありますが、振り返ってみると「もっとこうできたのではないか」「長期間の信頼に甘えていなかったか」という、自戒の念も湧いてきます。

今回は、特定の事例に限らず、「長期継続している案件において、クリエイターが陥りやすい罠」と、そこから脱却するための視点について考えてみたいと思います。


1. 提案が「前例踏襲」になっていないか?

関係が長く続くと、制作フローやトーン&マナーの正解が見えてきます。 「前回と同じフォーマットで」「いつものテイストで」というやり取りは、効率的で安心感があります。

しかし、ここに落とし穴があります。 クライアントの課題」や「市場のトレンド」は常に変化しているのに、「こちらのアウトプット」だけが固定化されていないでしょうか。

  • Check Point
    • 直近の提案資料を見返した時、1年前と似たような構成になっていないか?
    • 「前回通りでいいですか?」という確認が、口癖になっていないか?

信頼とは「変わらないこと」だけではなく、「その時々の最適解を出し続けること」だと再認識する必要があります。


2. 「阿吽の呼吸」が
「思考停止」になっていないか?

付き合いが深まると、言葉を尽くさなくても意図が通じるようになります。これは素晴らしいことですが、一方で「健全な議論」が減ってしまうリスクも孕んでいます。

「こう言えば相手はこう思うだろう」と先回りしすぎて、本来提案すべき「別案」や「改善案」を飲み込んでしまいます。あるいは、言われたことをそのまま形にすることが「良いサービス」だと錯覚してしまうのです。

  • Check Point:
    • 最近、クライアントに対して「あえて反対意見」や「プラスアルファの提案」を伝えたか?
    • 摩擦を避けることが、目的になっていないか?

クライアントが外部パートナーに求めているのは、単なる作業の手足ではなく、社内にはない「客観的な視点」であることも多いはずです。


3. 「一生懸命」のベクトルは合っているか?

「納期を守る」「ミスなく作る」、これはプロとして最低限のラインです。 長く続く案件では、この「守り」の部分にエネルギーを割きがちになりますが、プロジェクトを継続させるために本当に必要なのは、現状を打破する「攻め」の姿勢かもしれません。

「一生懸命やっているから、次も続くだろう」という期待は、時として通用しません。 「今の成果物は、現在のクライアントにとって本当に価値があるものか?」という問いを、常に自分たちに突きつける必要があります。

  • Check Point:
    • 現在の業務内容は、契約当初と比べてブラッシュアップされているか?
    • 「安定運用」の名の下に、現状維持を良しとしていないか?

終わらない関係を作るために

プロジェクトには必ず終わりがありますが、その時期を決めたり、あるいは形を変えて継続させたりするのは、私たちの「更新し続ける熱量」です。

今回の振り返りを通じて、改めて「安定している案件こそ、意識的に波を起こす(新しい提案をする)こと」の重要性を痛感しました。

「最近、あの案件は順調だな」 そう思っている時こそ、一度立ち止まって、この3つのポイントで現状を点検してみてはいかがでしょうか。