インサイト(Insight)という言葉は、マーケティング業界では頻繁に登場する用語のひとつです。
ただ、その意味や活用方法が曖昧なまま使われていることも少なくないと感じています。
「ニーズと何が違うのか?」
「どのように見つけて、実際の広告や販促にどう活かすのか?」
こうした疑問を抱えている方に向けて、今回は「消費者インサイト」の基礎から、小さなお店や会社でも使える実践法まで、わかりやすくまとめてみたいと思います。

消費者インサイトとは?
一言で言えば、消費者本人も気づいていない「買う理由」のことを指します。
たとえば「この商品を安いから買った」という言葉の裏に、
「節約している自分はちゃんとしている」とか、「得した気分で満たされた」といった気持ちが隠れていることがあります。
こういった、表に見えるニーズの“奥”にある本音や気持ちを読み解くのが「インサイト」です。
ニーズとインサイトの違い
- ニーズは「〇〇が欲しい」「△△を解決したい」という“目に見える”欲求
- インサイトは「〇〇が欲しいと思う“心の奥にある気持ち”」
つまり、ニーズは見えているけれど、インサイトは掘っていくことで初めて出てくる本音の動機のことになります。
なぜ今「インサイト」が
注目されているのか
インサイトは昔から広告や商品づくりの現場で大切にされてきましたが、最近さらに注目されている理由がいくつかあります。
1. 価格やスペックだけでは選ばれにくい
良い商品や安いサービスが世の中にあふれている今、機能や価格だけでは「じゃあ他でもいいか」となってしまいます。
そこで、「なんか気になる」「なんだか好き」と思ってもらうような感情に訴える広告や体験が大事になってきています。
2. 無意識のうちに選んでいる
人の意思決定の9割は無意識に行われていると言われていて、買う本人も「なぜそれを選んだか」を言葉にできないことが多いと言われています。
3. 小さな共感が「選ばれる理由」になる
現代はニーズに応えるだけでは差がつかない時代です。
「この気持ち、わかってくれてるな」と感じてもらえるかどうかが、選ばれるかどうかの分かれ道になります。

広告やLPにどう活かす?
「で、実際どう使えばいいの?」という方に向けて、広告やランディングページ(LP)にインサイトを活かす方法についてご紹介します。
1. 調べる:お客様の“心の声”を探してみる
- アンケートやクチコミをじっくり読む
- お客様との会話を思い出してみる
- SNSで「〇〇 欲しい」などで検索してみる
「本当は〇〇したかった」「意外と△△がストレスだった」など、
ぽろっと漏れた本音にヒントが隠れていることがよくあります。
2. 書く:コピーに“気持ち”をのせる
広告やLPでは、「〇〇したいあなたへ」「△△で困っていませんか?」といった言葉で、読み手の気持ちに寄り添う言葉を入れてみてください。
例:
- ×「高機能エアコン新登場」
- ○「暑さに負けたくないあなたへ——静かに、すばやく、やさしく冷やすエアコン」
3. 組み立てる:共感→提案→行動へ
インサイトに寄り添った広告やLPは、
- 共感(「そうそう、それが悩みだった!」)
- 提案(「じゃあ、こういうのはどう?」)
- 行動喚起(「これで解決、今すぐチェック!」)
という流れを意識すると、読み手が自然と引き込まれます。
インサイトを見つけるには?
ちょっとしたコツで、インサイトは見つけられます。
■ 会話から見つける
- お客様がふと口にした一言にヒントがある
- 「それって、どうしてそう思ったんですか?」と深掘りしてみる
■ 行動から推測する
- どんなときに買ってくれたのか?
- どの言葉や写真に反応があったのか?
■ SNSやクチコミをのぞいてみる
- 「うれしかった」「助かった」「がっかり」など感情が出ている投稿をチェックする
- 繰り返し出てくるキーワードはヒントになることが多い

まとめ:「なぜ買うのか」に
目を向けてみよう
インサイトとは、「お客様が何を買ったか」ではなく、「なぜそれを選んだか」に迫る考え方です。
大きな予算がなくても、気づかいと観察力があれば、インサイトを見つけられることも多いのではないかと思います。
機能だけでは伝わらない「気持ち」に寄り添うことで、
商品やサービスが選ばれる理由になると考えています。
参考記事
・https://chat-interview.com/blog/articles/consumer-insights.html
・https://www.meltwater.com/jp/blog/consumer-insight