「AIにアイデアを出してもらったけれど、どれも似たような感じ…」
そんなふうに思ったことはありませんか?
AIはたくさんの情報を組み合わせて、短時間で提案を出すのが得意が、どうしても“過去の傾向”をもとにした案が多く、どこか似通ってしまうこともあります。
AIO(AI+人の共創)の時代では、AIにすべてを任せるよりも、一緒に考えることが大切。今回は、制作会社の現場でも実践している「AIに頼りすぎない発想の出し方」を、3つのステップに分けてご紹介します。
① アイデアを「広げる」:AIで“視野を広く”する
最初のステップは「広げる」こと。
AIの得意分野は、なんといっても情報の横展開。
たとえば「AIOに関する記事テーマを考えたい」と入力すると、関連するキーワードを次々に提案してくれますが、この段階では、まだ内容の良し悪しを判断しなくて大丈夫で、まずは思考の幅を大きく広げてみることが目的です。
- 「似ていない案を10個」と指定してみる
- 「AI×デザイン」「AI×教育」など、異なる分野を組み合わせてみる
- 出てきたキーワードをマインドマップなどで可視化して整理する
一見関係なさそうな組み合わせから、新しい発想が生まれることも少なくありません。「こんな視点もあるのか」と感じるところに、次のヒントが隠れています。

② アイデアを「選ぶ」:
人の“感覚”で取捨選択する
次に大切なのは、AIが出した案を“選ぶ”こと。ここからは人の経験や感覚が大きな力を発揮します。
AIが提案したアイデアの中には、「面白いけれど現実的ではないもの」や「企業のトーンに合わないもの」もあります。そうした案を見極めながら、自分たちの目的や価値観に合うものを選ぶのがポイント。
たとえば、こんな視点で選んでみると良いと思います。
- このアイデアは、自社の理念とつながっているか?
- お客様が共感できる表現になっているか?
- “新しいけれど、わかりやすい”内容になっているか?
AIは「可能性」を広げてくれますが、「方向性」を決めるのは人の役割。そこに“温度”が生まれることで、アイデアはより現実的で魅力的なものになります。

③ アイデアを「磨く」:
AIで再構成し、人が仕上げる
最後のステップは「磨く」こと。選んだアイデアをもとに、AIに構成や文章化を任せてみると、AIが得意なのは整理と提案なので、その力を最大限に活かしてきます。
その上で、人が仕上げを行うことで、より“伝わる表現”に整えられます。
- AIに「この方向性で3案出して」と依頼すると比較しやすい
- 修正指示は抽象的でもOK(例:「やわらかいトーンで」「専門的になりすぎないように」)
- 仕上げ段階では“誰に伝えるか”を意識して見直す
AIと人、それぞれの得意分野をうまく組み合わせることで、スピードとクオリティの両立が実現します。

制作会社の役割:
AIの“翻訳者”として寄り添う
制作会社の現場では、AIが出した素案を「翻訳」するような工程が増えていますが、クライアントの想いやブランドのトーンを反映させるための大切な作業です。
たとえば、AIが作ったキャッチコピーを、企業の言葉づかいや顧客層に合わせて言い換える。AIが組み立てた構成を、実際の導線や行動につながる形に整える。
そうした“ひと手間”があることで、AIの提案はより現実的で、伝わる形に変わります。制作会社としては、AIと人の間に立つ「共創の通訳者」のような存在でありたいと考えています。
まとめ
AIを使うことで、発想のスピードや選択肢は確実に広がります。でも、本当に印象に残るアイデアを生み出すには、人の感性で「選び、磨くプロセス」が欠かせません。
AIOの本質は、AIに考えさせることではなく、AIと一緒に考えること。その視点を意識するだけで、発想の質がぐっと高まると思います。
日々の企画や制作の中でも、AIとの“チームワーク”を楽しみながら、自分らしいアイデアを形にしていけるといいなと思っています。