「こんな感じのチラシにしたいです」
「この内容をそのまま入れてください」
といった、はっきりとしたご要望をいただくことがあります。
前提として、ご相談いただく段階で方向性がしっかり定まっているのは、非常にありがたいことだと思っていますが、私たち制作会社としては、そうした「ご要望を形にすること」だけが仕事ではない、とも考えています。
今回は、指示通りにつくることをベースにしながらも、「その先にある、より良い提案」を行うために、私たちが日々心がけていることについてご紹介したいと思います。

「その通りに作る」ことの大切さと、限界
「きっちり依頼した通りに仕上げてくれる」
これは発注側にとって安心感のあるポイントで、実際、私たちもまずはご要望や指示を丁寧に読み取り、意図をできる限り正確に反映させるよう努めています。
ただ時には、
・情報量が多くて読みづらくなってしまう
・全体のバランスが崩れてしまう
・ターゲットに響きにくい構成になってしまう
といったケースも、少なからず存在するので、そうしたときに、単に「そのまま仕上げる」のではなく、「より伝わるにはどう工夫すれば良いか?」を一緒に考えるのも、私たちの大切な役割だと考えています。

「伝えたいこと」と「伝わること」は
違うかもしれない
ご依頼いただく内容の中には、「これも伝えたい」「あれも入れたい」という思いがたくさん詰まっています。
その熱量自体はとても大切なことなのですが、伝える情報が多すぎることで、結果的に「どれも伝わらない」という状態になってしまうことも。
私たちは、そうした場面で、
・どこを一番伝えたいのか?
・読み手にとって、どこが響きやすいのか?
といった視点を加えながら、構成やレイアウトの提案を行うことがあります。
ご要望に沿う形をベースにしながら、「こうしてみると、もっと伝わりやすいかもしれません」といった“プラスアルファ”のご提案ができるようにいつも意識して取り組んでいます。

小さな違和感にも
気づける存在でいたい
デザインのやりとりをしていると、
「なんとなく言葉が固い気がする」
「写真のトーンが少し浮いている」
など、言葉にしにくい違和感が生まれることがあります。
そうした“気づきにくい部分”にこそ、見た人の印象を左右する要素が隠れていることも少なくありません。
私たちは、仕上がりを一緒に確認するプロセスの中でも、
・構成の流れに違和感はないか?
・余白や行間の読みやすさはどうか?
・トーンや雰囲気が目的に合っているか?
といった点にも目を配り、「少しだけ変えることで良くなること」を丁寧に拾っていきたいと考えています。

提案は、押しつけではなく“選択肢”として
「提案してくれるのはありがたいけれど、
こっちの意図が変えられてしまうのでは?」
そんなふうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
私たちが大切にしているのは、「判断していただく材料をご提示する」というスタンスです。
・より伝わる案として、こんな見せ方もあります
・この表現には、こういった解釈の余地があるかもしれません
・もう少し絞ると、印象が明確になります
といったように、選択肢をご提示しながら、最終的な判断はクライアントと一緒に行っていくことが、より良いものづくりにつながります。

「その通りに作る」だけでは
もったいないかもしれません
私たち制作会社は、ご要望を正確に形にすることを第一に考えながら、
その先にある「もっと伝わる形」を一緒に探していく存在でありたい。
「こうしたい」という想いを尊重しつつ、
「こうするともっと伝わるかもしれません」という視点を添えていく。
そんなプラスアルファの提案を通して、より納得感のある仕上がりを一緒に考えていければ嬉しく思います。