SNS広告と印刷物、デザインの“見せ方”はどう変える?

デザインや広告を作るとき、「同じ素材をいろいろな媒体で使いたい」というご要望は少なくありません。
確かに、写真やロゴ、キャッチコピーなどを統一して使えば、ブランドの一貫性が保たれますが、媒体ごとに画面サイズや閲覧環境、読み手の行動パターンが異なるため、同じ素材でも“見せ方”を変えることが効果的だと考えています。

今回はSNS広告と印刷物で、デザインの見せ方をどのように工夫しているかご紹介したいと思います。


SNS広告の特徴と見せ方

SNS広告は、スマホでの閲覧が中心です。スクロールの中で一瞬で注目を引く必要があるため、視覚的なインパクトと短いコピーが重要

  • 文字量は最小限に(キャッチコピー+短い補足程度)
  • 写真や動画は明るめ&コントラスト強めに
  • 余白を広めに取り、視線がぶれないレイアウトに
  • 縦長・スクエアなど、SNSごとの推奨サイズに合わせる

事例
ある飲食店では、同じ料理写真を使っても、Instagram広告では料理のアップを大胆にトリミングし、短いキャッチで“食欲”を刺激するような構図にしています。


印刷物の特徴と見せ方

印刷物は手に取ってじっくり読まれる媒体ですので、SNSよりも情報量を多く載せられるため、詳細な説明や比較表なども効果的です。

  • 写真は高解像度で、色は印刷向け(CMYK)に調整
  • キャッチコピー+本文+補足情報をレイアウト
  • 読みやすさを考え、行間やフォントサイズを適正化
  • 紙質や加工で印象を演出(マット紙で高級感、光沢紙で鮮やかさ)

事例
同じ不動産物件の広告でも、チラシでは間取り図や設備情報を細かく掲載し、資料請求につなげる構成に。
SNSでは外観や周辺環境の写真に絞り、まず興味を引く形に変えています。


媒体ごとに変える理由

  • 視認時間の違い
    SNS広告は数秒で判断されますが、印刷物は数分〜数十分見てもらえる可能性があります。
  • 環境の違い
    SNSは屋外や移動中でも見られる一方、印刷物は室内でゆっくり読まれることが多いです。
  • 目的の違い
    SNS広告は“興味喚起”に強く、印刷物は“詳細理解”や“保存”に向いています。

制作会社としての具体的アドバイス

  • 最初の打ち合わせで媒体別の優先度を共有する
    「今回はSNSでの拡散が最優先」「展示会で配るパンフレットがメイン」など、主戦場を決めることでデザインの方向性が明確になります。
  • 同じ素材を使う前提でレイアウトのバリエーションも作る
    1つのデザインデータからSNS用・印刷用をスムーズに作れる構成にしておくと、後からの修正コストが減ります。
  • 色味と解像度は必ず別で調整する
    SNS用はRGB・明るめ、印刷用はCMYK・実寸解像度で最適化するのが基本です。
  • テスト配信や試し刷りで事前確認
    SNSではA/Bテスト、印刷物では色校正を行うことで、完成後のズレや効果不足を防げます。

まとめ|同じ素材でも戦略的に見せ方を変える

写真やロゴ、コピーを統一して使うことはブランド力の維持に役立ちますが、見せ方は媒体ごとに最適化するのが効果的です。
SNSでは「瞬間的に心をつかむ見せ方」、印刷物では「深く理解させる見せ方」を意識すると、同じ素材でも成果は大きく変わります。

制作会社としては、媒体別の設計を最初の段階で組み込むことが、長期的な効果とコスト効率を両立させる鍵だと考えています。