見えない努力に支えられた納品の裏側|制作会社の段取り術

「いい感じのデザインができたから、もう安心!」
…そう思ったところで、実はここからが本当の勝負だったりします。

私たち制作会社の現場では、完成したデザインを“納期に間に合わせて届ける”ための工程が、いくつも水面下で動いており、修正対応、社内チェック、印刷会社とのやりとり……そのどれもが、スムーズな納品には欠かせないプロセス。

今回は、普段なかなか表に出ない「スケジュール管理の裏側」について、制作会社の視点からお話しします。


完成すればOK?
実は“その後”が勝負の制作現場

どれだけ良いデザインができても、納期に間に合わなければ意味がありません。

制作には、デザインそのもの以外にも多くの確認や調整作業が含まれています。
「〇日までにデザインが欲しい」と言われたとき、私たちはその日をゴールにはしていません。

実は、その日までに“確認や修正を終えておく”ことを目指して、逆算して動いています。


制作会社が水面下で行っている
スケジュール管理の実際

① 修正の回数・想定をもとにスケジュールを組む

初回の提出で完璧なものができることは、実はあまり多くなく、大抵は、「ここをもう少し大きくしてほしい」「色味を変更したい」などのご要望が入ることを想定しています。

そのため、“何回か修正がある前提”でスケジュールを組んでおくのが一般的です。
1回の修正で1日〜2日。内容が多ければ数日かかることもあります。

② 複数の確認ステップを通す必要がある

デザインができたら、すぐに納品というわけではなく、通常は次のような流れで複数のチェック工程を通します。

  1. デザイナーが初稿を提出
  2. ディレクターがチェック(構成や表記)
  3. 社内で再確認(全体の整合性)
  4. クライアントに提出 → 修正 → 再確認

このように、社内だけでも2〜3回のやりとりがあることが多く、調整には意外と時間がかかります。

③ 印刷・Web公開には“締切日”がある

印刷物であれば「入稿締切」、Webなら「サーバー反映日」など、制作以外の工程にも期限があり、例えば印刷会社が「木曜の正午までにデータをください」と決まっていれば、それより前に最終原稿をFIXさせる必要があります。

つまり、「納品日」ではなく「さらにその先」を見据えて、制作は逆算で動いているということなのです。


スケジュールをうまく進めるために、
意識すると良いこと

制作会社だけでなく、発注者側でも少し意識していただけると、進行がスムーズになるポイントがあります。

① 確認にかかる日数を事前に伝える

「社内で誰が確認するか」「稟議に何日かかるか」といった事情があれば、最初に共有いただけると、あらかじめその日数を見込んで、進行スケジュールに組み込むことができます。

② 修正指示は“まとめて”出すのが◎

修正内容が1つずつバラバラに届くと、確認・修正・再確認の回数が増えていくため、できれば一度にまとめてご指示いただくと対応も早くなり、時間のロスも減りやすくなります。

また、複数人で確認する場合は「誰の意見を優先するのか」も明確にしていただけると、判断がスムーズになります。

③「納品日」だけでなく「イベント日」や
「印刷日」も共有する

たとえば「展示会で使いたい」「〇日に配布したい」といった最終目的を共有いただければ、逆算してスケジュールをご提案することもできます。


まとめ|“いいもの”を
“間に合うかたちで届ける”ために

制作現場では、目に見えないところで多くの調整が行われています。
いいデザインをつくることは大切ですが、それを確実に納期に間に合わせて届けるためのスケジュール管理もまた、重要な仕事のひとつです。

納期を守るためには、制作側だけでなく、依頼側との“チームプレー”が不可欠なため、「どうすれば気持ちよく進められるか?」を共有できると、よりよい制作につながると考えています。