ポストから郵便物を取り出したとき、みなさんはどんな風に仕分けをされていますか?
「これは自分宛ての手紙」「これは請求書」……そして、「これは関係ないチラシ」。
ちょっぴり切ないことですが、自分に関係がないと判断されたダイレクトメール(DM)は、封も切られずにそのまま役割を終えてしまうのが現実です。
一生懸命作った案内が、誰の目にも触れずに捨てられてしまう。 これほど悲しいことはありません。
でも、もしそのDMが、「他でもない、あなたへの手紙」だとしたらどうでしょうか?
今日は、高価なデザインを使わずに、お客様がつい封を開けたくなる「宛名」の魔法についてお話しします。

「皆様」へのラブレターは、届きにくい
街中で「みなさーん!」と呼ばれても、そのまま通り過ぎてしまいますよね。 でも、「そこの赤いマフラーの方!」と呼びかけられたら、思わず振り返ってしまうはずです。
ダイレクトメールも、これとまったく同じです。
「お得意様各位」や「お客様へ」といった宛名は効率的ですが、「あなた個人には関心がありません」というサインにも見えてしまいます。 受け取る側は「自分には関係ない」と感じ、心を閉ざしてしまう可能性があります。
「多くの人」に届けるのではなく、「たった一人」に話しかける。 まずはその意識に変えるだけで、伝わり方は大きく変わります。
最新技術よりも強い、「名前」という魔法
では、どうすれば「自分事」だと思ってもらえるのでしょうか。 一番シンプルで強力な方法は、お客様の「お名前」を呼ぶことです。
人は、自分の名前にとても敏感です。 大量の郵便物の中でも、「〇〇様」と自分の名前が書かれているものは、無意識に特別扱いしたくなるものです。
たとえば、封筒の表書きや、挨拶文の冒頭を少し変えてみましょう。
Before: 「春の新作セールのご案内」
After: 「〇〇様にお似合いになりそうな、春の新作が入りました」
Before: 「いつもご利用ありがとうございます」
After: 「先月はご来店ありがとうございました。〇〇様、その後の使い心地はいかがですか?」
ほんの少しの違いですが、「私のことを覚えていてくれたんだ」という安心感が生まれませんか?
この「特別感」こそが、封を開けてもらうための鍵になります。

「あなた宛て」を証明する、手書きのひとこと
「名入りで印刷したし、これで完璧!」 と言いたいところですが、実はもうひとつだけ、大切な壁があります。
どれだけ名前が入っていても、すべてが綺麗なデジタル文字だと、「どうせ自動で差し込んだんでしょ?」と見透かされてしまうことがあるのです。
そこで効果的なのが、「手書き」という証拠を残すことです。
すべての文章を書く必要はありません。 宛名の横や挨拶文の端に、たった一行添えるだけで十分です。
- 「〇〇様、最近急に寒くなりましたね」
- 「お誕生日おめでとうございます!」
内容はシンプルで構いません。 重要なのは、内容よりも「わざわざペンを執った」という事実です。
「印刷機任せにせず、あなたの顔を思い浮かべて書きましたよ」 というそのひと手間が加わることで、ダイレクトメールは「ただの印刷物」から、本当の意味で「あなたへの手紙」に変わります。
まとめ
ダイレクトメールは、単なる「広告」ではなく、 企業とお客様の心を繋ぐ「手紙」です。
「〇〇さんからの手紙なら、読んでみようかな」 と思っていただける関係づくりを、制作会社として私たちもお手伝いできればと思っています。