「お客様との距離は近いはずなのに、なんだか関係が深まらない…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
売上やリピート率を伸ばすために、商品やサービスの品質を高めるのはもちろん大事なことですが、実は“その先”にある「気持ちのつながり」が、長く愛されるブランドをつくるカギになると言われています。
今回ご紹介するのは、最近話題になっている指標「顧客幸福度(カスタマーハピネス)」で、これはお客様があなたの会社・ブランドとの関わりを通じてどれだけ“幸せ”を感じているかを表すものです。
特別なシステムや大きな投資がなくても、小さな会社だからこそ実践しやすいのがこの考え方の魅力だと考えており、今回は顧客幸福度の基本から、すぐに使えるアイデアについてまとめたいと思います。

顧客幸福度とは?
顧客幸福度とは、「このブランドに出会えてよかった」「ここで買って正解だった」——そんなポジティブな気持ちの積み重ねを測るものです。
2024年にファン総合研究所と日経クロストレンドが行った調査では、顧客幸福度が高いブランドほど、購入意向や人への推奨意向も高いことが明らかになりました。
つまり、「このブランドが好き!」という感情があると、自然とリピートしたり、友達に勧めたりしたくなる。
これは、まさにビジネスの原動力になる“好循環”と言えます。
なぜ今「幸福度」が重視されているのか?
かつては、商品が安い・便利・高機能といった“モノの価値”が選ばれる理由でしが、今は違います。
✔ モノ消費から「コト消費」へ
✔ さらに「トキ消費」や「イミ消費」へ
といったように、体験や感情、共感といった“心の価値”が選ばれる時代へと変化していると言われています。
「そのブランドを使って、どんな気分になれるか」
「その商品と一緒に過ごす時間が、どれだけ心地よいか」
こうした感情面にフォーカスすることが、顧客の幸福度を高める第一歩だと考えます。

小さな会社でもできる!幸福度を高める3つの視点
では実際に、どんな視点で顧客幸福度を高めていけばよいのでしょうか?
特別な仕組みがなくても、次の3つの視点を意識することで、お客様との関係がぐっと近くなります。
1. 「自分らしさ」を引き出す工夫
人と同じじゃつまらない。今はそう考える人も多い時代だと思います。
だからこそ、お客様が「自分に合っている」「私らしい」と感じられる体験を用意してみることが大切だと言われています。
たとえば…
- カラーや仕様を自分で選べるカスタマイズサービス
- 名前や日付を入れられる記念アイテム
- スタッフとの会話で、さりげなく趣味や好みを覚えておく
こうした“選べる・伝わる・覚えてくれている”体験は、顧客の幸福度を大きく引き上げます。
2. 「心の支え」になる存在を目指す
ふと疲れたときに立ち寄れるカフェのように、日常に“ちょっとした安心”をくれる存在はとてもありがたいものです。
ブランドも一工夫加えることで、そんな“心の支え”のような存在になることができます。
たとえば…
- 商品にひと言メッセージを添える(例:「今日もお疲れさまです」)
- SNSで前向きな気持ちになれる発信をする
- 季節の節目に「気にかけてくれてる」と感じられるお便りを出す
お客様が「ここで買うと、元気が出る」「また来たい」と思える場所になれば、自然とファンは増えていきます。
3. 「安心して好きと言える」心理的安全性を育てる
誰かに「ここのお店、おすすめだよ」と紹介するには、そのブランドに“安心”と“信頼”が必要です。
「ここなら裏切られない」
「堂々と人に勧められる」
そんなブランドは、ファンにとっても自信の表れになります。
実践できるポイントとしては…
- トラブル時の迅速で誠実な対応
- 顧客の声に耳を傾けて、改善していく姿勢
- お客様同士がつながる場(イベント・SNSコミュニティ)の提供
小規模だからこそ、“顔が見える関係性”を築くことが、強い信頼につながると考えます。

成功企業に学ぶ!顧客幸福度を高めた実例
● モスバーガー
「家族みんながワクワクできる場所」を目指し、注文システムの快適化や、地域の食材を使った限定メニューを展開。利便性と感動を両立させています。

引用:https://www.mos.jp/mori/#
● カルビー
お客様の声を商品に反映する姿勢を貫き、健康志向や新しいニーズに応えた開発を強化。“一緒につくる会社”として愛されています。

引用:https://www.calbee.co.jp/
● オリオンビール
沖縄に根ざし、“思い出”や“文化”を大切にする取り組みが地元に支持され、限られた広告費でもシェア1位を実現。ファンの心をしっかりとつかんでいます。

引用:https://www.orionbeer.co.jp/
今日からできる、小さな一歩
「顧客幸福度」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。
でも実は、ちょっとした心づかいからスタートできるのがこの取り組みの良いところです。
- 今日のお客様に、なにか一言添えてみる
- 最近リピートしてくれた人に、ちょっとしたお礼を伝えてみる
- お客様とのエピソードを社内で共有して、スタッフみんなで大切にする
“お客様の幸せを願う”という気持ちがあれば、できることはたくさんあるのではないかなと思っています。

顧客幸福度は、機能や価格では測れない「気持ちの価値」を見える化したものです。
そしてそれは、小さな会社こそ得意とする“人との関係づくり”の中で育まれるものでもあると思います。
「このブランドと出会えて、よかった」と感じてもらえる体験を少しずつ重ねていけば、自然とファンは増え、ビジネスはもっと強く育っていくと考えています。
参考記事
・https://cs-studio.adish.co.jp/contents/customer-happiness