「うちの強みって何?」広告制作の前にやっておきたい自社棚卸しのすすめ

広告を制作するうえで、「何を伝えるか」という部分が定まっていないと、どんなにデザインやコピーが整っていても、印象に残らない広告になってしまうことがあります。

見た目の美しさや言葉の巧みさだけでは、「らしさ」や「想い」までは伝わりづらいもので、だからこそ、広告づくりのスタートラインとして、自社の魅力や特徴をあらためて見直す「棚卸し」の時間は、とても大切だと感じています。

これは難しい作業ではなく、すでに日々の仕事の中で積み重ねていることや、お客さまからの声、スタッフの姿勢といった、「当たり前になっているもの」の中にこそ、本当の強みが眠っている場合も多いと感じています。

今回は、広告や販促物をつくる前に取り組んでおきたい自社の強みの整理のヒントを、制作会社の視点からご紹介してみたいと思います。


広告づくりは「自社理解」から始まる

広告の方向性を決める際、どんな媒体で、どんな見せ方をして…と、形の部分から考えはじめてしまうことは多いと思いますが、その前に「自分たちは何を伝えるべきか?」という視点が定まっていないと、全体の軸がブレてしまうことがあります。

強みや特徴が整理されていないまま進めると、メッセージが曖昧になり、結果的に「何を伝えたいのかよく分からない」広告になることも少なくありません。

逆に、自社の強みや価値をしっかり言語化できていると、デザインや構成もぶれにくくなり、受け手の心にも届きやすくなると考えます。


棚卸しのヒントになる3つの視点

自社の強みを見つけるために、特別な調査や分析が必要なわけではありません。
まずは、以下のような視点から「日々のあたりまえ」を振り返ってみるだけでも、十分に価値ある気づきが得られると思います。

① 「お客さまからよく言われること」

社内ではあまり意識していないけれど、外から見ると評価されているという点は、強みのヒントになります。

  • 「対応が早くて助かった」
  • 「話しやすくて、相談しやすかった」
  • 「丁寧に説明してくれて安心できた」

など、お客さまから自然と出てくる言葉に注目してみると、自社の「らしさ」が見えてくると思います。


② 「他社と比べたときの違い」

競合他社と比較したときの違いから、自社の独自性が浮かび上がることもあります。

  • 商品・サービスの提供範囲や深さ
  • 対応スピードや柔軟性
  • 小回りの利く距離感や、スタッフの人柄

こうした「差異」が、実は大きな価値となって伝わることも少なくありません。

③ 「これだけは譲れないと思っていること」

仕事をするうえで、大切にしている考え方や姿勢も立派な強みです。

  • 「顔が見える対応を心がけている」
  • 「地域密着にこだわっている」
  • 「スピードより丁寧さを大事にしている」

など、自分たちが何を信じて取り組んでいるのか。
これは、共感を呼ぶ広告のメッセージとして非常に力を持つ部分だと思っています。


「いい広告」は
「らしさ」がにじんでいる

広告にはさまざまな手法がありますが、印象に残る広告というのは、どこかに「その会社らしさ」がにじみ出ているものです。

見た目の派手さや流行を追うことだけが、良い広告の条件ではありません。
むしろ、伝えるべき中身が定まっている広告ほど、シンプルでも深く届くと考えています。

「ブランディング」と聞くと難しく思われるかもしれませんが、まずは「自分たちらしさ」を言葉にして整理することから始まり、その言葉をデザインやコピーに落とし込んでいくのが、私たち制作会社の役割でもあります。


迷ったら社内の声を
集めてみるのもおすすめ

強みを整理する作業をひとりで抱え込むと、どうしても主観的になってしまったり、煮詰まってしまうことがあります。

そんなときは、社内や身近な人に「この会社の良いところって何だと思う?」と気軽に聞いてみてください。
お客さまと直接接しているスタッフや、外部のパートナーなど、第三者の視点はとても貴重です。

また、制作会社との打ち合わせも、実は「棚卸しの場」になることがよくあり、会話の中から「あ、それ、うちらしいかも」と気づく瞬間が生まれることも少なくありません。


まとめ:「うちの強み」を言語化するだけでも
広告はぐっと変わる

広告やデザインに取りかかる前に、自社の強みをあらためて整理しておくことは、とても価値あるステップだと考えています。

完璧な言葉にする必要はありませんし、「まだぼんやりしていて…」という状態でも大丈夫ですし、少しずつでも考えを共有していただければ、私たち制作会社もそこからご一緒に考えていけます。

「棚卸し」は、広告づくりを始めるための準備であると同時に、自社の魅力にあらためて気づくきっかけにもなるのではないかと考えています。