「AIに質問したのに、なんだか思っていた答えと違う…」
そんな経験はありませんか?
AIはとても便利なツールですが、与えられた質問の内容によって、出てくる答えの質が大きく変わり、AIO(AI+人の共創)の時代では、“どんな質問をするか”が成果を左右する大事なポイントです。
今回は、制作会社の現場でも意識している「AI時代の質問力」について、お話ししたいと思います。

なぜ「質問力」がAI時代に重要なのか
AIは膨大な情報を整理・まとめることが得意ですが、「何を知りたいのか」「どんな方向に進めたいのか」という“軸”を決めるのは人の役割。
たとえば「ロゴのデザイン案を出して」とお願いしても、漠然としたままでは、どれもピンとこない提案になってしまいがちですが、「20代女性に向けた、やさしく信頼感のあるロゴ」と伝えると、AIは一気に的を絞った案を出してくれます。
つまり、AIに“考えてもらう”前に、人が考える準備を整えることが大切で、これがAIO的な「質問力」の第一歩だと思います。
よくある“聞き方の落とし穴”
質問を投げるとき、つい曖昧なままお願いしてしまうことがあります。
たとえば次のようなケース。
- 「いい感じのデザインにして」
→ 抽象的すぎて、AIが判断しづらい - 「バナーの文案を考えて」
→ 目的が不明で、ありきたりなコピーになってしまう - 「SNSの投稿文を作って」
→ ターゲットやトーンが伝わらず、方向がぼやける
人との会話なら、「もう少し具体的に?」と聞き返してもらえるかもしれませんが、AIは“言われた通りに”動くため、意図をくみ取るのが苦手。
だからこそ、質問の段階で「自分が本当に求めていること」を整理しておくことが大切です。
良い質問をつくる3つの視点
AIに伝えるときは、次の3つを意識すると答えの精度がぐっと上がりやすくなります。
1️⃣ 目的:「何のために知りたいのか」
→ 例:「SNS投稿の反応を高めるタイトル案がほしい」
2️⃣ 背景:「どんな状況で使うのか」
→ 例:「春のキャンペーンで、新規のお客さま向けに発信する」
3️⃣ 制約:「どんな条件を守ってほしいのか」
→ 例:「文字数は30字以内で、やわらかい印象にして」
この3つを整理するだけで、AIの答えはより“自分に合った形”に近づきます。

制作現場で役立つ“質問テンプレート”例
ここでは、制作の現場で実際に使っている質問の型をご紹介しますので、使用例として、参考にしてみてください。
🟢 文章づくりのとき
「〇〇というテーマで記事を書きたいたい。
目的は〇〇、読者は〇〇。
トーンは〇〇で、構成案を3つ提案してください。」
🟢 デザイン案を考えるとき
「〇〇をテーマにしたバナーを作りたい。
想定ターゲットは〇〇、目的は〇〇です。
使用カラーは〇〇系で、写真とイラストどちらが良いか提案してください。」
🟢 キャッチコピーを出したいとき
「〇〇という商品を宣伝したい。
伝えたいキーワードは〇〇で、トーンは〇〇。
短めと長めの案をそれぞれ3つずつください。」
これらの質問文は、AIに正確に動いてもらうためだけでなく、自分自身の考えを整理するための手がかりにもなり、また、AIと対話しながら言葉にすることで、自分の中の方向性が少しずつはっきりしてきます。
制作会社の役割
私たち制作会社が日々感じているのは、AIが発達した今こそ、“答え方”よりも“聞き方”に価値があるということです。
AIは、どんなに優秀でも人の感情までは読み取れません。
だからこそ、「どんな想いで作りたいのか」「誰に届けたいのか」といった部分を言語化していくのが、人の役割だと考えています。
AIにすべて任せるのではなく、一緒に考えていく姿勢を大切にしたい。その入り口にあるのが「良い質問」なのかもしれません。

まとめ
AIを活用するうえで、いちばん大切なのは“質問の質”。尋ねる前に、「自分は何を知りたいのか」「どんな結果を望んでいるのか」を整理しておく。
そのひと手間が、結果を大きく変えるきっかけになります。
AIOの時代は、AIが答えを出す時代であると同時に、人が“問い”を育てる時代でもあるのではないでしょうか。
AIと人が力を合わせることで、お互いの良さがより引き立ち、その第一歩として、「質問力」を意識することが大事なポイントになると思います。