AIで見直す思考のクセ|AIO時代の判断力アップ術

AIを活用する中で、「なぜか納得できない」「いつも似たような答えになる」と感じたことはありませんか?

それはAIの性能の問題というよりも、自分自身の思考パターンや判断基準が反映されている場合があります。

AIとのやり取りは、情報を得るだけでなく、自分の考え方を客観的に見直すきっかけにもなります。
制作や企画の場でも、AIを通して自分たちの“思考の傾向”を把握することは、より的確な判断や提案につながると感じています。

今回は、AIとの対話から見えてくる「思考の傾向」について考えてみたいと思います。


AIは「思考の可視化ツール」になる

AIは、与えられた言葉をもとに最適な回答を導き出します。つまり、質問の仕方や前提条件の置き方が、そのまま結果に反映されるということです。

たとえば、

  • 「正しい方法を教えて」と聞くと、AIはリスクの少ない選択肢を提示します。
  • 「新しい発想を出したい」と伝えると、枠を超えた提案を返してきます。
  • 「顧客視点で見直すと?」と尋ねれば、訴求面からの改善案が返ってきます。

こうした違いを観察していくと、自分が普段どのように問いを立て、どんな視点を重視しているかが見えてきます。

AIとの対話は、思考の“鏡”であると同時に、思考を整理する手段でもあります。


違和感があるときこそ、見直しのチャンス

AIの答えにしっくりこないときは、「AIの精度が低い」と片づけずに、自分の問いの立て方を見直すと新しい発見が得られることがあります。

  • 同じような答えばかり返ってくる → 問題設定が狭すぎる可能性
  • 答えが漠然としている → 目的や条件が不明確になっているサイン
  • 提案を否定したくなる → 自分の判断軸に偏りがあるのかもしれません

AIは感情に左右されないぶん、自分の思考や判断の「型」を見つめ直すツールとして非常に有効です。

違和感を感じたときこそ、思考の整理が進むチャンスだと考えます。


制作会社の現場で活かす視点

私たち制作会社でも、AIを活用する中で、「なぜこの提案にまとまりやすいのか」「どんな視点が抜けていたのか」といった点を振り返る機会が増えました。

たとえば提案書を作る際、「過去の実績を重視した構成」に偏っていたとき、AIに「初めて見るお客様の視点で評価して」と入力してみると、「強みは伝わるが、導入の理由が弱い」といった具体的な指摘が返ってきます。

こうしたやり取りを通じて、自分たちの“発想の型”や“判断の癖”を認識できるようになります。

AIは、発想を補うツールであると同時に、組織や個人の思考プロセスを見直すためのツールにもなり得ます。


まとめ

AIとの対話は、単なる効率化の手段ではなく、自分やチームの“思考の構造”を可視化する時間でもあります。

「AIがどう答えたか」よりも、「自分がどう問いを立てたか」に注目することで、判断の軸や発想の方向性を客観的に整理できるようになります。

AIO(AI+人の共創)の時代では、AIを“使いこなす”だけでなく、AIを通して思考を磨く視点が求められると感じています。