AIが普及したことで、文章やデザインを短時間で形にできるようになりました。
とても便利になった反面、最近は「自分で考える時間が減っているかもしれない」と感じる方も増えているのではないでしょうか。
AIがアイデアを出したり、構成を整えたりすることは大いに助けになります。
しかし、考える過程までAIに委ねてしまうと、本来伝えたかった想いや、自分らしい表現が少しずつ薄れてしまうことがあります。
この記事では、AIと人がうまく協力しながら“考える力”を活かす方法を考えてみたいと思います。

便利さの中で見えにくくなる「思考の時間」
AIは情報を整理したり、スピーディにまとめたりすることが得意ですが、人がこれまで時間をかけて行ってきた「考える」「迷う」「比べる」といった過程には、かけがえのない意味があります。
たとえば、記事を作る場面を思い浮かべてみてると、AIに構成を任せれば短時間で整った見出しを簡単に作ってくれます。
ただ、「どんな順番なら読み手に伝わりやすいか」「どの言葉なら共感してもらえるか」を想像する作業は、人だからこそできることです。
その過程にこそ、作り手の考え方や価値観が表れますので、便利さを取り入れながらも、自分で考える時間を意識的に残すことが大切ではないでしょうか。
「代わりに」ではなく「一緒に」考える意識を持つ
AIを活用するとき、「すべてを任せる」か「まったく使わないか」という両極端に分かれがち。しかし、実際にはその中間にこそ、より良い使い方があります。
AIを“答えを出す道具”としてではなく、“考えるきっかけをくれる相棒”として捉えると、使い方の幅が広がります。
たとえば、
- 方向性に迷ったときにアイデアを出してもらう
- 自分の考えを整理するために質問を投げかけてもらう
- 曖昧な表現を具体的にするヒントを得る
このように使えば、AIは発想を広げる手助けをしてくれます。
「AIが考える」のではなく「AIと一緒に考える」という姿勢を持つことで、効率を保ちながらも、自分の思考を深めていけると思います。
最後の仕上げは“人の感性”で整える
AIが生み出す文章やデザインは、構成が整っていて自然に見えますが、そこに人の感じ方や心の動きを反映させるのはまだ難しい部分。
たとえば、「ここはもう少し柔らかい言い方に変えたほうが伝わりやすい」「この部分は少し間をとって読み手に考えてもらいたい」といった細やかな調整は、人の経験や感性によって行われます。
AIが骨格をつくり、人が温度を整えることで、ようやく言葉が人の心に届く形になりますので、その最後のひと工夫が、AIでは作れない“伝わる表現”につながるのだと思います。

制作会社として意識していること
制作会社の現場でも、AIの導入が進んでいます。
これまで時間がかかっていた資料整理や下書きづくりは、AIの助けを借りることで効率化できるようになりました。
それでも、私たちの役割は変わりません。
依頼してくださるお客様の想いを丁寧にくみ取り、言葉やデザインで伝わる形にしていくことこそが、制作会社の価値だと考えています。
AIで素案をつくり、人が仕上げるという流れは今後さらに一般的になってきますが、その中でAIでは表現しきれない“らしさ”を引き出すことが、私たちの大切な仕事だと思います。

まとめ
AIを使えば、作業の効率は確実に上がります。
しかし、すべてを任せてしまうと、考える力や伝えたい気持ちが薄れてしまうことがあります。
大切なのは、AIと人のあいだに適度な余白を持つこと。
AIが整えた情報に、人の感性を少し加えるだけで、表現はぐっと深みを増します。
AIと協力しながら、自分の考えを大切にして創り続ける。
それが、これからのAIO(AI × 人)のあり方ではないでしょうか。