「誰がつくるか」で選ばれる時代:社員発信で差をつけるインナーブランディング術

デザイン制作会社を探している方にとって、「信頼できるパートナーかどうか」は大きな判断材料になるのではないでしょうか。
特に近年は、ただ実績やデザインの見た目を並べるだけでなく、「どんな人が、どんな想いでつくっているか」を伝えることで、より深い共感や信頼につながるケースが増えています。

その手法として注目されているのが、「社員の声」を活かした情報発信、いわゆるインナーブランディング(社内文化を強みにしたブランド構築)を、外部に向けた広報にも活かす考え方

今回は、InstagramなどのSNS上で社員の発信がどのように集客や信頼構築につながっているのか、事例を交えながらご紹介します。


なぜ「社員の声」が響くのか?

公式サイトや広報担当者の発信に比べ、社員本人が語るメッセージには、次のような価値があると感じます。

  • リアルな空気感が伝わる:現場で働いている人の言葉は、台本のないリアリティがあります。
  • 企業の「中身」が見える:どんな価値観で働いているか、どんな文化を大切にしているかが垣間見えます。
  • “顔の見える仕事”になる:実際に関わる人の姿がわかることで、信頼感や安心感が生まれやすくなります。

実際に、社員が登場する投稿は、一般的な企業投稿に比べて8倍のエンゲージメント(反応)があるという調査もあるそうです。


SNS別・社員発信が効果を
発揮するパターン

Instagram:日常や裏側が“共感コンテンツ”に

写真や動画を通じて、制作風景やスタッフの日常を伝える投稿が好評です。
たとえば、ニトリでは店頭や本部社員の声を発信し、「この会社で働く自分」を想像しやすい工夫を行っています。

Instagramのアルゴリズムでは「保存」や「シェア」が評価されやすいと言われており、共感を生みやすい社員投稿は自然と拡散されやすくなります。


TikTok:ちょっと砕けた“体験の共有”が好印象

TikTokでは、若手社員による投稿が人気で、HISのように、旅行業界の裏側を紹介する動画は、業界理解だけでなく企業文化の伝達にもつながっています。

@his_japan

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X:リアルな一言が“共感の連鎖”を生む

Xは、リアルタイム性と気軽さが特徴のSNSであり、社員の一言が思わぬ共感を呼び、拡散につながることも。

たとえば、制作現場で感じたちょっとした気づきや、社内での出来事を個人の言葉でつぶやくだけでも、「この会社、面白そう」「感性が近いかも」と感じてもらえるきっかけになります。

また、社員が企業の投稿を引用リポスト(リツイート)することで、企業アカウントだけでは届きにくい層に情報が広がっていくという側面もあり、広報としての「シェアの連鎖」をつくりやすいのも、Xの強みだと感じます。


国内企業の事例から見る
「社員の声」が広げるブランド力

「社員の声」を活かした発信によって、集客や信頼構築につなげている企業が少しずつ増えてきていますので、参考になるような制作会社や広告業界に近い業種の事例をご紹介してみたいと思います。

クックパッド株式会社:
チームの多様性を“社員の言葉”で伝える

クックパッドでは、公式noteやXなどで、社員自らが業務内容や開発体制、組織の在り方について発信する文化が根づいています。

たとえば、「クックパッドでの働き方」や「プロダクトの裏側」に関するnote記事は、社員の視点をベースに構成されており、決して一方通行な情報ではありません。
書き手自身の実体験や迷いを交えながら語ることで、読者にとっても「生きた情報」として届きやすくなっています。

こうした取り組みは、サービス利用者だけでなく、採用におけるミスマッチ防止や企業カルチャーへの共感形成にも役立っているようです。


株式会社ココナラ:
カルチャーの可視化で共感と採用を両立

スキルマーケット「ココナラ」を運営する株式会社ココナラでは、社員インタビューや働き方に関する投稿をnoteやInstagramで積極的に発信しています。

たとえば、社員が実際にどのようにサービス改善を進めているか、どんなチームでどんな議論が行われているかを、フラットな目線で紹介。
これにより、「サービスの裏側」が見えるだけでなく、働く人の価値観や思考にも触れることができ、共感を生み出す発信となっています。

実際、ココナラは採用においてもSNS経由での接触が増えており、会社への理解が深い応募者が集まりやすくなるといった効果も見られています。


このように、業種を問わず「社員の声」をうまく活かしている企業は、発信そのものが“信頼をつくる行為”になっているように感じます。制作会社としても、こうした事例を参考に、「顔の見える発信」が持つ力を見直してみることは大切だと思います。


制作会社を選ぶ際
「誰がつくっているか」も見ておくと
プラスに

制作会社は、見積もり金額や実績で選ばれることが多いものの、実際には「コミュニケーション」や「相性」が成果に大きく影響するもの大きいため、
だからこそ「社員の声」を発信している会社であれば、事前に空気感や価値観をつかみやすくなると考えます。

また、発信している会社ほど、伝える力やブランディングの考え方に長けている傾向もあるため、自分たちの魅力をきちんと伝えられる会社は、あなたの会社の魅力も同じように伝えてくれる可能性が高いのではないでしょうか。


制作会社を選ぶときは、「デザインの良し悪し」だけでなく、「どんな人たちがどんな想いで制作しているか」まで目を向けてみるのもうひとつの視点です。

社員の発信を通じて見える“顔のある会社”は、信頼関係の第一歩をつくってくれる存在になり、そうした会社を見つけることで、依頼後のコミュニケーションもスムーズになり、より良い成果につながる可能性が高まると考えます。


参考記事
・https://kazeniwa.net/penguin/6695
・https://www.wantedly.com/companies/line/post_articles/172031