デザインを見たときに「なんとなく、いい感じ」「見やすくて分かりやすい」と感じたことはありませんか?
でも、その「なんとなく」を言葉にして説明するのは難しい、と感じる方も多いのではないかと思いますが、実はその「なんとなく良い」には、表に出ない「裏設定」がしっかりと存在していることがほとんどです。
今回は、色・フォント・余白といった、一見地味な要素に込められた設計の意図について、制作会社の視点からご紹介していきます。

色には”意味”と”役割”がある
デザインで色を決めるときは、単に「好み」や「見栄え」だけで選んでいるわけではありません。
- 企業やブランドのイメージに合っているか
- 対象とする読み手の好みに近いか
- 誘導したい感情(安心感・信頼・活発さなど)と一致しているか
といった観点から、全体のトーンが決められています。
また、同じ青でも「青紫寄り」「水色寄り」「彩度が高いか低いか」など、わずかな違いが印象に大きく関わるため、制作では細かく調整を行うこともあります。

フォントは”言葉の声”を担っている
フォント(文字のデザイン)は、文字の内容以上に、読み手に与える雰囲気を左右します。
- 明朝体は丁寧で落ち着いた印象
- ゴシック体は力強くはっきりした印象
- 手書き風のフォントは親しみやすさや柔らかさ
このように、フォントにも「声」があると捉えると、なぜ見出しにはこの書体が選ばれているのか、本文はなぜこの大きさなのか、といった理由が見えてきますので、伝えたい内容と声のトーンが合っているかどうかを調整することも伝わりやすさに関わる大切な設計要素です。


余白=情報を届けるための”間”
「空いているスペースだから詰め込んでしまいたくなる」という気持ちもありますが、実はこの“余白”があることで、情報はグッと読みやすくなります。
- 要素の間に適度な余白を取ることで、情報のまとまりが明確になる
- 視線の流れが自然に誘導される
- 読み手が疲れずに、すっと内容を受け取れる
このように、余白は“空白”ではなく、“意味のある間”として設計されています。

裏にある設計が、
“なんとなく”をつくっている
「なんか伝わりやすい」
「きちんとして見える」
と感じるデザインは、偶然そう見えているのではなく、要素の一つ一つに理由があることが多く、見えないけれど効果を発揮している裏設定の積み重ねが、全体の印象を整え、結果として「伝わるデザイン」につながっていきます。
まとめ:理由のある設計が、感覚に届く
制作会社では、
「この色の方が落ち着いて見える」
「ここに余白をつけた方が読みやすい」
といった提案の裏に、設計の意図があります。
「なんとなくいい」と感じたときは、その裏にある小さな工夫や配慮が、しっかり機能している証かもしれません。
見た目だけで判断しにくい部分こそ、制作会社が力を入れているポイントですので、デザインを依頼するときの参考にしていただければと思います。